クラシック

arabesque musicale

「音楽のアラベスク」。 『ドビュッシー音楽論集 反好事家八分音符氏』(平島正郎訳、岩波文庫)第6章「名演奏家」は、内実ほぼバッハ論、バッハへのオマージュになってる。 本文から。 「この協奏曲(しんかい註:前段で「ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ…

高橋悠治「もりこ」

NHK-FM の帯番組「サウンドストリート」は、曜日ごとのパーソナリティがいて、火曜日は坂本龍一の担当だった。 第39回、1982年04月13日放送分は、ゲストに高橋悠治を迎えた。 曲は5曲掛かって、最初の4曲はテープないしディスク出し。 36'46" にスタジオを移…

下書き放出(ユジャ・ワンのスカルボ)

ラヴェル『夜のガスパール』第3曲「スカルボ」、ユジャ・ワンの演奏。 冒頭の、3音からなるメロだけでもう、びっくりする。最後の音が短めで強め。きっぱりとフレーズが切れて、これとの落差で、次に隣り合う8分休符の沈黙を深い闇の淵にする。 ただし、これ…

ブラボーおやじ

ブラボーおやじを殲滅せねばならないのは、彼らが「聴く」ということをしていないから。 「ブラボー!」と叫ぶことが目的になってる、ということは、そのタイミングの少し前で準備に入ってる、ということは、音楽を聴いてない。 演奏への反応としての「ブラ…

イサン・ユン「ガラク」 ジャスミン・チェイ(フルート)

イサン・ユン「ガラク」1963年 Jasmine Choi(フルート)、Hugh Sung(ピアノ) 2010年4月、Hoam Art Hall(韓国、ソウル) 曲について。 ムラマツフルートのサイトの解説によると、 「朝鮮伝統音楽の要素と西洋の前衛音楽の手法を融和」 「「歌楽 (Garak)」…

デュアメル『ヘラクレスの功業』

おせちもいいけど、デュアメルもね。 実家にアントワーヌ・デュアメル Antoine Duhamel (1925 - 2014) のオペラ『ヘラクレスの功業 Les Travaux d'Hercule』の LP があった。RVC の日本盤「エラート現代音楽名盤選」シリーズの1枚。 1981年初演。LP は1982年…

下書き放出(廣瀬量平「海はなかった」の非情な詩情)

さびれた入江で 白い羽根を見つけた海はなかった 川だから pic.twitter.com/trcO7rSiU8 — 新海智子 (@coccyx_T) 2022年11月7日 廣瀬量平作曲、岩間芳樹作詩、混声合唱組曲『海の詩』第1曲「海はなかった」。 この曲の演奏は数多いけど、まだ理想的なものに出…

「生っぽい打込み」の例

「生っぽい打込み」について。 但し、KORG01/WFD におけるそれ、なので、どなたのご参考にもならないです。 0'19" 目と 0'30" 目のハープのグリッサンド。 譜面はこうなってて、 つまり、ハープのグリッサンドは、ペダルを踏まない状態だと ラシドレミファソ…

Oliver Knussen "Where The Wild Things Are"

オリヴァー・ナッセン Oliver Knussen (1952 - 2018) のファンタジー・オペラ『かいじゅうたちのいるところ Where The Wild Things Are』Op. 20。1幕9場。 1979~1983年、ベルギー国立歌劇場の委嘱で作曲。 台本はモーリス・センダック。彼自身の同タイトルの…

武満徹「ウィンター」

シロちゃんお誕生日おめでとう。どうしてるかな。 シロちゃんが昔ブログで武満を取り上げてたのを思い出した。 私は 'Dreamtime'(「夢の時」、1981年作曲)という曲が好き。 私のいちばん好きな、岩城宏之/NHK交響楽団の1984年の録音は、つべに無い。NHK …

「バーゼルの朝の奏楽」とは?

「バーゼルの朝の奏楽」って何なのか、未だに知らない。 アルテュール・オネゲル:交響曲第4番「バジリアの喜び」第3楽章 シャルル・デュトア指揮バイエルン放送交響楽団 これの 6'53"~ 7'40" のメロが、もともとは「バーゼルの朝の奏楽」というものだと読ん…

ドビュッシー『プレリュード第1巻』第4曲

これの 2'14"~、なんでモード勝手に変えてる(d を dis に変えてる)んだろう? (この曲ピアノなればこそ可能な曲なんじゃないの?という根本問題は置いといて) オーケストラ・アレンジは Peter Breiner による。そのオケアレンジ譜がこう書かれてるのか、…

下書き放出(チャンス・オペレイション)

ツイッターでフォロー申し上げる方からご教示頂いたつべ。 高橋アキと西村朗のやり取りで、貴重で興味深いエピソードをいろいろ聞けるんだけど、1か所、解せない。 33'52" から、ジョン・ケイジがチャンス・オペレイションの考え方で曲作ってると、いい加減…

判明(か?)、「エオリアン・モード」。(James Tenney)

先日のこの記事で、「エオリアン・モード」という題名の曲を捜してる、と申しました。 なかで、「日本の現代音楽の作曲家の作」と書いた、この「日本の」というところが誤りだったことがほぼ確実です。すみません。 すなわち、James Tenney というアメリカの…

イシュトヴァン・マトゥズのフルートによるジョリヴェ『5つの呪文』

『リノスの歌』について書いた時に触れたけど、私が最初に聴いたジョリヴェは、無伴奏フルートの『5つの呪文』(1936年作曲)だった。最初期の、異教性・呪術性まっしぐらの。 イシュトヴァン・マトゥズ István Matuz の演奏だった。発声奏法というか、差音…

武満徹「遠い呼び声の彼方へ!」、ほか

何故ウケないんだ! 「NHK交響楽団」の略じゃないですかね https://t.co/oSHc7e3a9o — 新海智子 (@coccyx_T) April 6, 2022 *1 武満徹:ヴァイオリンとオーケストラのための「遠い呼び声の彼方へ!」('Far Calls. Coming, Far!'、1980年) 徳永二男(ヴァイ…

Lenka Dusilová、Lanugo、ほか

メンデルスゾーンはわたし的にスケルツォの人。 劇付随音楽『夏の夜の夢』にも有名なスケルツォがある。つべで改めて通して聴くと長さ、というか似た音形が続くのを持て余した。 というところに、これを見つけた。 オケ曲を、クラリネット4本にアレンジして…

サン=サーンス「水族館」

私がサン=サーンスで唯一好きな曲、「水族館」(『動物の謝肉祭』第7曲)。 編成にグラス・ハーモニカを含むけど、グロッケンで代用されることが多い。 グラス・ハーモニカを使った例。 たんに珍しいというだけでなく、いい演奏だと思う。初めて知る演奏家た…

たずね曲、「エオリアン・モード」。

たずね曲です。 Perfume「ポリリズム」を最初に聴いた時の感想のひとつが、 「中間部はたしかに4/4拍子の上で2.5拍の音形が繰り返されるから「ポリリズム」に違いないけど、その最も単純な例。私が「ポリリズム」というタイトルから想定するありようからした…

野木青依(のぎ あおい、マリンバ即興演奏)

今回のあらすじ 音楽映像作品「にいはまの音×マリンバ『マリンバ・ネリネリ in にいはま』|野木青依 Aoi Nogi」の 8'17" ~ 8'31" の、鉄屑の火花のカットを見て、全てを悟った。 思いつきで、ぐるぐる移動しながら演奏しています。楽しい…#無為フェス #北千…

ゴーベール「マドリガル」

シンクロニシティは相変わらずたて続く。 で、ふと思い出した。数年前、アメーバピグの音楽フロアでブースに乗ってフィリップ・ゴーベール「マドリガル」をスタンバイしてると、直前の、初対面の方がまさにその「マドリガル」をお掛けになったのだった。 被…

はじめてのポゴレリチ

/いっしょに #てりたま たべよっか\#宮﨑あおい さんご出演のテレビCMはご覧いただけましたか?桜も咲いてますし…てりたまの季節になりましたし…今日は勇気を出して気になるあの人を誘ってみませんか☺▸ https://t.co/y62aW5rcQs pic.twitter.com/duhJ6oSZe…

たずね曲です。

Eric Coates の 'By The Sleepy Lagoon' なのですが、私が昔聴いて、探しているのは、つべで見つかるものとはアレンジが違います。 ライト・クラシック(イージー・リスニング)というよりもっと、真っ当なフルオケのオーケストレイションに近い印象。 記憶…

日記 2022年02月12日

明け方、梵鐘、キー高めでカーンと澄んだ音色のが、聴力の地平線ギリこっち側で、3回鳴る。似た音色でピッチが違うのが、1回。近所のささやかな祠は瀬戸稲荷神社で、ある方からご教示頂いた岡山県神社庁の HP によると、創建は延喜年間。さすが西日本は歴史…

マリウス・コンスタンのモーリス・オアナ

私は、ロックについては1970年代スピリットの人だけど、クラシック録音については、1960年代のものに価値を感じることが多い。 作品との対峙のしかたに、のっぴきならないものを感じる。いままさに価値と意味が生み出されてる現場、みたいな。それはどの時代…

ヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブル

"Musik Der Renaissance" Wiener Blockflötenensemble(CD、Tudor 719、1987年*1) ご存じヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブルが、Josquin Desprez、Heinrich Isaak、Ludwig Senfl、Michael Praetorius、Antonio De Cabezon、Ioan Maria Tasso、Andrea…

偶然とアンサンブル

サディスティック・ミカ・バンド「墨絵の国へ」での、歌詞の朗読パート×2って、 ① 録音時、他のトラックを聴いておらず、あとで編集もせず、偶然の齎すタイミングの「ズレと噛み合い」だけを尊重してるのか、 あるいは、 ② ある程度は他のトラックを聴きなが…

長い物が苦手

長い物が苦手だ。映画を全く不勉強なのも、長いから、というのが最大の理由。 その私が、今朝、ケント・ナガノのメシアン『アッシジの聖フランチェスコ』を聴き通した(昨日の記事の段階ではまだ一部しか聴いてなかった)。 4時間の音楽をぶっ続けで聴いたの…

メシアン『アッシジの聖フランチェスコ』

「キリスト生誕を描いたジョットのフレスコ画が浮かび上がるアッシジの聖フランチェスコ聖堂のプロジェクション・マッピング」のツイートを見掛けた。 この聖人の名を聞いてまず思い出すのは、メシアン唯一のオペラ、『アッシジの聖フランチェスコ Saint Fra…

モテたい③

私自身、ググって他人様のブログを訪れるのに、ジャンル名やアーティスト名で検索する、つまり「何について」書いてるかでアクセスするわけです。 でも求めてるのはその書き手が「どう」書いてるかであって、私は書き手に興味がある。私の好きなアーティスト…