メシアン『アッシジの聖フランチェスコ』

「キリスト生誕を描いたジョットのフレスコ画が浮かび上がるアッシジの聖フランチェスコ聖堂のプロジェクション・マッピング」のツイートを見掛けた。

この聖人の名を聞いてまず思い出すのは、メシアン唯一のオペラ、『アッシジの聖フランチェスコ Saint François d'Assise』(1975~83年作曲)。台本もメシアン自身が書いた。

メシアンはこれが最後の仕事と覚悟して臨んだ。じっさい充実した作品としてはこれが最後、といっていいのかも知れない。

 

クリスマス音楽ではない。あと、アッシジの聖フランチェスコといえば『ブラザー・サン シスター・ムーン』だろ、とのご意見には、従わざるを得ない。

 

初演は、1983年11月28日、小澤征爾指揮、パリ・オペラ座で。小澤の全曲盤 CD も出た。同じ場所での12月06日と09日のライヴを編集したもの。精度とか練度とかより「意気込み」的な何かで聴くべき演奏だった気がする。聖フランチェスコはジョゼ・ファン・ダム。

 

ケント・ナガノの全曲盤がある。ハレ管弦楽団、ジョゼ・ファン・ダム(聖フランチェスコ)、ドーン・アップショー(天使)、アルノルト・シェーンベルク合唱団、他。1998年録音。

つべにはアルバムも作られてる。

最初のトラック。

 

2011年07月01日、バイエルン国立歌劇場での初演の、トレイラー。

指揮はケント・ナガノ

 

ケント・ナガノ的位置」という典型。

現代曲のレパートリーに意欲的だし、演奏内容は精緻・明晰で、彼で聴いておけば曲を正しく解る。でも何かいまひとつ「満たされる」ことがない。ここは曰く言い難いところなのだけど。

精緻・明晰ということでいえば、同じ曲がブレーズで出てたらそっちで買ってしまう。いっぽうで、「ラトルのバーミンガム市響」に対するような愛着も覚えにくい。

類義語に「シャイー的位置」「2位じゃダメなんでしょうか?」がある。

PASCO 超熟は「食パン界のケント・ナガノ」みたいな。余計判りづらい喩えか。