オリヴァー・ナッセン Oliver Knussen (1952 - 2018) のファンタジー・オペラ『かいじゅうたちのいるところ Where The Wild Things Are』Op. 20。1幕9場。
1979~1983年、ベルギー国立歌劇場の委嘱で作曲。
台本はモーリス・センダック。彼自身の同タイトルの絵本(1963年)に基づく。
2001年にドイツ・グラモフォンから出た全曲盤がつべに上がってる。
Lisa Saffer(ソプラノ、マックス役)ほか、ナッセン自身の指揮するロンドン・シンフォニエッタによる演奏。
ここでは、冒頭を割愛して、お話の筋でいうと少年マックスが航海を始めるあたりから、貼ります。
かいじゅうたちのダンスの場面は、曲調からいってもいちばん盛り上がるところではあるのだけど、割愛。
私はこの録音しか知らなかったけど、1985年に、やはりナッセン指揮ロンドン・シンフォニエッタの演奏(歌手は一部を除いて入れ替わってる)で Unicorn-Kanchana レーベルからリリースされてた、と今知った。
ナッセンがこれを「ファンタジー・オペラ」と銘打つとき、それは、これをラヴェル『子供と魔法』、ストラヴィンスキー『夜啼き鶯』の系譜に連ねる、ということだ。音形としても、それらのこだまを聴き取れる。ドビュッシー『おもちゃ箱』、ムソルグスキー『ボリス・ゴドゥノフ』などからの引用も含むらしい。
私は永らく、ナッセンをいちばん好きな作曲家、『かいじゅうたちのいるところ』をいちばん好きな音楽、と表明して来た。作曲とオーケストレイションが最高度に入り組んで私の「現代音楽欲」を満たしつつ、アヴァンギャルドではなく、聴覚の愉悦ための音楽なところが。
微細にして豊穣。精緻すなわち陶然。
でも今回聴き直しつつ、そういうのはもういいかな、という気になってた。あまり入れ込めなかった。
ナッセンは指揮者としても、例えば武満から「私の曲がここまで注意深く演奏されることは少ない」みたいなことをいわれてたと記憶する。