King Crimson - Larks Tongues In Aspic (Session Reels)
レコーディング・セッションです。ツイッターで tmatsushita 氏からこのつべをご教示頂きました。
形になってゆくプロセスがスリリングで、言及しておきたい箇所はいくつかあるのですが、いちばんハッとしたのは、'Easy Money' の 42'24" 目、Aメロを、ギターが4分音符のコードの刻みでやるアレンジの箇所です。この4分の刻みが「21馬鹿」を連想させる、と。
King Crimson の、私の思う「シニカル」の系譜というのがあって、'Easy Money' もこれに属します。
私は「21馬鹿」の作曲を身も蓋も無いと思って好きじゃなかったのですが、「シニカル」の系譜で捉え直すことで、いま私の中で「21馬鹿」再評価が起きています。
この系譜は 'Cat Food'(2nd. アルバム "In The Wake Of Poseidon" 所収)に始まると思ってたのですが、「21馬鹿」(='21st Century Schizoid Man'、1st. アルバム "In The Court Of The Crimson King" 所収)が既にそうだし、むしろここに「シニカル」が典型的に示されてる、と。
ついでの他愛ない連想ですが、「21馬鹿」の歌い出しの詞 Cat's foot と Cat Food は似ています。また、'Cat Food' に2か所ディストーションの掛かったヴォーカルのトラックが置かれるのは、「21馬鹿」を思い出させます。これらが、作曲者自身この2曲を同系譜と位置づけてる、とする証左にはなりませんが。
形になってゆくスリリングさとして言及しておきたい箇所というのは、
① LTIA1 の最速の箇所は、同じ素材が、2つのしかたで窮められて、それぞれこのパートの前半と後半になったのかな?という点。
すなわち、「もともと 4/4 だった素材を 7/8 にし、ギターが16分音符の連続だけで押し切る」窮め方が前半に、「テンポ上げと2つのドラム(パーカス)の応酬の騒々しさを最大にする」窮め方が後半になった、と見えます。
② 同曲のヴァイオリン・ソロへのプサルテリ?のパートの付け方が、検討のプロセスで、入りの箇所を2か所に限定、奏法もそれぞれの箇所「トレモロのみ」と「グリッサンドのみ」に整理していって、効果的なアレンジになります。
③ 'Exiles' のイントロは、曲調的に、もともとトラッドの叙事詩的な発想だったのでしょうか? この段階では(このつべ全体通して)アレンジにメロトロンが出て来ません。
④ 'Talking Drum' の最初のテイクでギターがワウでごにょごにょやってるのも面白いですが、最終的に採用されなかったですね。
このつべオフィシャルではないのでいずれ削除されるでしょうか…