ヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブル

"Musik Der Renaissance" Wiener Blockflötenensemble(CD、Tudor 719、1987年*1
ご存じヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブルが、Josquin Desprez、Heinrich Isaak、Ludwig Senfl、Michael Praetorius、Antonio De Cabezon、Ioan Maria Tasso、Andrea Gabrieli、Giovanni Gabrieli、Salomone Rossi、Erasmus Widmann と、"Glogauer Liederbuch" からの5曲を収める。トータル42分。
メンバー: Alfred Endelweber、Ulrike Groier、Klaus Gund、Rudolf Hofstötter、Hans Maria Kneihs、Georg Mittermayr。

一聴、まずびっくりするのは、録音の感じ。高域が全然抜けなくて、籠った響き。「ADD」となってるから録音はアナログだけど、にしてもたんなる不手際でこの響きにはなり得ない。意図的にこうしてるんだろう。

この上ないアンサンブル能力。リズムが正確できびきびして、ルネサンス音楽の多声部のリズムの噛み合いを精密に実現し、音楽をてきぱきと運ぶ。なのに、決して鋭かったりどぎつかったりにならず、ピアニシモに基準線を置いたみたいな鳴らし方のせいで、むしろ常時「ひそやか」な印象になってる。磨かれきった響き。
じっさいブロックフレーテという楽器(トレブルからラージ・ベースまでの)が最大6本同時に鳴って、常にこの柔らかく落ち着いた響き、というのは、思えば奇跡ではないか。
こういうアンサンブルの特質のためには、先にいった録音の感じが相応しいともいえるし、意識的な選択なんだろう。

じつはヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブルの演奏は1曲だけ聴いたことがあった。テレフンケンへの録音。アンドレア・ガブリエリだったと思う。そこでは、運指のたてる微かなノイズまで如実に拾うみたいな、生々しくリアルな録音だった。「音楽が鳴ってる」と同時に「物体としての楽器・メカとしての楽器が鳴ってる」感じが表に立ってた。
というかそれ込みで「音楽」と思ってたし「ヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブルの音」だと思ってしまってて、今回その感じを期待して臨んだために、半ば肩透かしを食らったのではあった。ヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブル的には「知るか!」な話。

イザーク 'Der Hund' では、途中ワン・フレーズだけ、ヴォーカル(斉唱)が突然歌詞付きのパートを歌い出して、びっくりする。器楽作品だけど、何かの歌を原曲とする、そのネタばらし、みたいなことだろうか?? ユーモアと取ればいいのかな??
プレトリウスとヴィトマンの曲では、パーカスが基本のビートを刻む。

ぶっちゃけ私は、十把一絡げに「ルネサンス音楽」としてしか聴こえてなくて、個別の作曲家のキャラを聴き分けることは出来てない。

ヴィーン・ブロックフレーテ・アンサンブルは、現代曲もレパートリーとするみたい。

*1:追記 2022年04月19日 もともと1975年に LP で出たもののようです。