White Noise "An Electric Storm"

1969年はプログレにとって重要な年だ。

White Noise "An Electric Storm" がリリースされた年だからだ。

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音楽性の豊饒に於いても、録音・ミックス技術の駆使に於いても、というかその両者の幸福な結び合いが、1969年当時に類例を見ないプログレッシヴさだ。

 

ひとくちに録音やトラックダウンが優れてるといっても、たぶん2つの方向があって、

①「記録」としての録音に徹して楽器の音を正しく捉えるとか、最適のミックスバランスを見つけて固定するとかの方向、例えばカーペンターズの録音の完璧さ。

②たんなる記録ではない積極的な「表現」としての録音技術、例えばビートルズ「サージェント・ペパーズ」。

 

White Noise "An Electric Storm" はもちろん②で、卓のフェイダーやつまみが常に動いてる、アクティヴでダイナミックでアグレッシヴなミックス。

歌モノの形式でヴァースとサビ*1を繰り返す場合でも、毎回各トラックの音量やイコライジングやパンやエフェクトのデプスの設定が変わってる、とか。「ミックスによる変奏」とでも言いたいような。

それをそれ自体として突き詰めて、やれること全部やってる風でありながら、じつは徒ではなく、音楽の要請から来てる「技術即表現」が、プログレの鑑。

アナログの手作業ゆえに貴い。

 

第6曲 'The Visitations' では、3種類のリフが重なってて、それぞれ別個に、奥まったり露わになったりして、ミックスバランスが刻々連続的に変化してゆく。

とくに 5'55" 目~ 8'14" 目でそれが判りやすい。こういう発想なんか、カデンツとか変奏とかによらない、より「自由で自然」な曲の展開・変化の在り方の可能性を拓いてるし、もしかしたらダブに近い発想なのかも?

(ダブは1968頃に発明されたという説があるらしい。影響された可能性がある??)

 

曲数を限ろうと思ったけど、やはりこれも。

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とくに1分12秒目からのサビが、私が個人的に思う「イギリス的」の典型なので。その部分の鮮烈な美しさが、急転直下間奏の禍々しさになだれ込むのが、プログレ

 

これは1979年の映像らしい。5分30秒目~では、"White Noise Ⅲ Re-Entry"(1980年)所収 'Time Traveller' を演奏してる(アテフリ?)。

David Vorhaus って、CD で音だけ聴いてるとエンジニア的イメージだったけど、 kaleidophon は、エンジニアよりも楽器弾きの、キーボーディストよりもギタリストの発想する楽器、との感を強くする。

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*1:「コーラス」「リフレイン」「折返し」はどれも多義的で誤解を招くので、「サビ」で。