クラシック

Art Bears、Cosmos Factory、武満徹

邦題「哀しみのイヴェール」。私の勝手な記憶では、センチメンタリズムに溺れるイメージだったんだけど、改めて聴き直すと、ぎゃくに醒めてる。厳しく選ばれた音を、コントロールされた音程・強弱・テンポで、正確に置いてゆく。 「タイトルに『冬』を含む作…

ふくしひとみ さん ②

妻のシタール練習、二日目の夜には、ドラムを使ってひとりセッションをしていた。以前どこかで誰かに言われたのだが、まさに習得、応用の鬼。 pic.twitter.com/meWE9RkgJS — 戌一(いぬいち) (@inu1dog1) 2020年7月25日 演奏なさっているのは、ふくしひとみさ…

「牧神の午後への前奏曲」の最後の小節

「牧神の午後への前奏曲」を終止線まで収録したCD を聴いたことがない。 最後のページ。 ここ(練習番号⑫)は、12/8拍子。 最後の小節に音符があるのは、チェロと、コントラバスと、前の小節からタイで持ち越されて来た、フルートと、サンバル・アンティーク…

思い出した!イヤーワームの出典

かねて折に触れ脳内で鳴り出すヴォーカルラインの断片があり、その出典が思い出せずイライラしていた。さっき突然思い出した。 南アジアのどこかの民族音楽だろう、と目星をつけていたのだが、まず最初に降ってきて、「思い出した!これだ!」となったのは、…

シャルル・シェーヌ「オルガン協奏曲」

シャルル・シェーヌ(1925 - 2016):オルガン、弦楽オーケストラ、ティンパニと打楽器のための協奏曲(十字架の聖ヨハネの求道詩による)(1966) マリー=クレール・アラン(オルガン) フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団 指揮:セルジュ・ボド Cha…

三善晃「オンディーヌ」

三善晃:音楽詩劇「オンディーヌ」(1959年) 最近、アナログ盤が音源の、全曲のつべが上がった: 原作:フゥケ 詩:岸田衿子 作曲:三善晃 本荘玲子(オンド・マルトゥノ)、友竹正則(バリトン)、鈴木清三(オーボエ) 森正/ラジオ管弦楽団、ラジオコー…

湯山 昭:女声合唱とピアノのためのエッセイ『愛すること』から「こないで!」「潮は満ちて」

湯山 昭(1932年09月09日 - ):女声合唱とピアノのためのエッセイ『愛すること』(1969年) 作曲:湯山 昭 作詩:武鹿悦子 「少女」 「刺す」 「小鳥になる」 「そのひと」 「讃歌 - 1 こないで」 「讃歌 - 2 潮は満ちて」 昭和45年度芸術祭参加作品 あ、湯…

イースター

バッハ J. S. Bach 『復活祭オラトリオ』"Oster-Oratorium (Easter Oratorio)" BWV249 の第7曲 'Sanfte soll mein Todeskummer'。 最初このアリアをラジオで聴いた時(ミュンヒンガー Karl Münchinger だった)、トニック中の「ファ」が、たんに頻出するとい…

高橋悠治「パレスチナのこどもたちのかみさまへのてがみ」

コジマ録音の『三宅榛名+高橋悠治 いちめん菜の花』 https://www.discogs.com/ja/master/602998-%E4%B8%89%E5%AE%85%E6%A6%9B%E5%90%8D-%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%82%A0%E6%B2%BB-%E3%81%84%E3%81%A1%E3%82%81%E3%82%93%E8%8F%9C%E3%81%AE%E8%8A%B1 ALM Record…

Jean-Claude Eloy "Gaku-No-Michi"

Jean-Claude Eloy "Gaku-No-Michi" がアップされました。 2007年の CDr のフル。1979年の LP と同内容で、トータル2時間弱です。 この曲は4時間以上あるので、半分ほどの抜粋ということです。 4時間全部を収めた CD は、その後2010年に出ました。 1979年、2L…

国際子どもの本の日

「国際子どもの本の日(こくさいこどものほんのひ、英語: International Children's Book Day)は、イエラ・レップマンの提唱により国際児童図書評議会(IBBY)が制定した、子どもの本を通した国際理解を推進するための記念日。ハンス・クリスチャン・アンデ…

合唱

女声合唱組曲『美しい訣れの朝』から「お母さん」 阪田寛夫 作詞、中田喜直 作曲 福島県立安積女子高等学校 1986年10月26日 Nコン全国コンクール高等学校の部(金賞) 福島県立安積(あさか)女子高等学校は、2001年に福島県立安積黎明高等学校になって、共…

Philip Legder

「フィリップ・レッジャー」 さっき突然私の口がこう発した。 私の頭は、私の口の発する語が合唱指揮者の名であることに思い当たるのに、15秒掛かった。 私はレッジャーの演奏を聴いたことがない。馴染みのない名前がなぜ口を突いて出たのか、謎。 ググると…

ドビュッシーの命日に

03月25日はドビュッシーの命日です。 ドビュッシー最後の作品は「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」です*1。1917年完成、この年の05月05日、ガストン・プーレのヴァイオリン、ドビュッシー自身のピアノで初演。これがドビュッシー生涯最後の公開演奏とな…

Pascal Dusapin "Macbeth Underworld"

岸純信氏のこの御記事で Dusapin という作曲家を知りました。 Pascal Dusapin (1955 - ) のオペラ "Macbeth Underworld" は2019年09月にモネ劇場で初演され、その後今年03月のパリ、05月のルーアンと公演が予定されていましたが、このうちパリ公演がキャンセ…

Spirit 'Taurus'、Purcell、など

今回この曲を知ったわけだけど、曲としての完成度というのと別に、聴く者のイマジネイションを刺戟してくると思った。 件のコード進行*1から開ける視野の一例を、それに続く箇所の楽想が、きっちり形にして示してるし、聴く者がイマジネイションを拓くための…

リコーダー

Led Zeppelin 'Stairway to Heaven' に関するニュースに接して、リコーダーを聴きたくなった*1。 ルチアーノ・ベリオ:Gesti ("Gestures") 1966年、フランス・ブリュッヘンのために書かれた。 この演奏は Lucia Mense、2006年録音。アルト・リコーダーのため…

TRIOLA、SHIDA、鈴木治行

TRIOLA www.youtube.com 'Phantom Waltz' アルバム "Chiral" (2019) から。 トリオラ TRIOLA : 須原杏 Anzu Suhara (vn)、波多野敦子 Atsuko Hatano (vla) ゲスト : 石橋英子 Eiko Ishibashi (dr) SHIDA 2018年に波多野敦子と鈴木治行で結成したヴァイオリン…

Frederica Von Stade

完全に個人的な思い出話で済みません。 子どもの頃、NHK 深夜のフィラーを見ていました。 富士山の映像にクラシック音楽を当てたものでした。清冽な渓流の映像に差し掛かると、清冽なオーケストレイションに導かれて、清冽なメゾ・ソプラノが歌い出しました…

猫の日

2月23日は、にゃんにゃんミャーの語呂合わせで「猫の日」で、祝日です。 ラヴェル『子どもと魔法』1987年グラインドボーンの、猫のシーンだけ抜き出したつべが上がっていました。 デザイン:モーリス・センダック 演出:フランク・コルサロ シンシア・ブキャ…

リゲティ

エーテボリ交響楽団来日公演の広告が出だした。 以前アメーバピグの音楽フロアで教わったこれを思い出した: 私はエーテボリ交響楽団の演奏をこれしか知らない。 リゲティのオペラ『ル・グラン・マカーブル』からの3つのアリアの、演奏会用編曲。 来日公演と…

子どもの音楽

これは私の大切な音楽のひとつ: 室内楽アレンジの気が利いてる。 子ども時分は子ども仕様を拒む。このルチア・ポップの1枚を、いま、大人の私が楽しんでる。 ただ、特殊な楽しみ方ではある。「今時点の私の問題意識に沿う」というのでもない代わりに「振り…

石見神楽「塵輪(じんりん)」

シンクロニシティ。 まず、友人とヴァーグナーの話になって、実家にあった本『バイロイト音楽祭 ニーベルング*1の指輪』(music gallery⑤、音楽之友社、1984年)を思い出した。 ごく小さな簡単な本だけど、舞台写真の図版が豊富で、これを軸に編まれてて、戦…

メモ

3つのメモは相互に無関係です。 Ⅰ. マーラーの交響曲のオーケストラ編成が巨大なのは、細部の積み上げの結果だ。 ブルックナーのマッスとは違う。 マーラーは指揮者でもあったので、音色=オーケストレイションのアイデアの欠片たちが「具体的に」彼の中で…

「熊蜂の飛行」、Golden Avant-Garde

「熊蜂の飛行」といえば。 ロックバンドのクラシックカヴァーといえば Golden Avant-Garde の「間奏曲(メシアン作曲)」だけど、動画が見つからない。 あ、そうだ、まぼろしペイガンズで演奏なさってましたね。 2020年09月14日追記 ラクリモーザでやってる…

バディヌリ

いま書いてる曲の参考に、バッハ『管弦楽組曲第2番』の第7曲「バディヌリ」を聴くつもりだった。 それをいったん忘れて、つべで Ibon Koteron とか Troy Donockley とかを聴いてたら、おすすめでオランダの Ekseption が出て来た。私はこのバンド全然聴いた…

sumer

これを聴いた直後に、 これが目に入って、脳内で「icumen」と「イクメン」がカノンし始めた。 この子たち、The Hilliard Ensemble よりもっとハモりがキレイですね。 ただ、平均律特有のハモりではある。基準に沿う結果のハモりだし、響きとして純正じゃない…

春の歌 2/2

'It was a lover and his lass' シェイクスピア「お気に召すまま」から。 Thomas Morley Peter Pears のテナー、Julian Bream のリュート: この演奏も清新: 演奏によって、第7音が ♯ なのと♮なのがあるのは、版の違いだろうか? ピアーズのは、キーが G に…

春の歌 1/2

ピーター・ピアーズ、ソニー・ロリンズとともに「3大テナー」に数えられる、イアン・ボストリッジの歌唱。 追記(2020年01月26日)始め このブリテン『セレナード』が春に纏わる曲というわけではないです。 今年は01月25日が旧暦01月01日にあたることから、…

ベートーヴェン

Ⅰ.ベートーヴェン演奏 この演奏を聴いた時、生涯初めてベートーヴェンを正しく理解したと思った。 「きびきびしてる」。ロックと同じ聴き方で聴ける。 実家にあったベートーヴェン交響曲全集はショルティ/シカゴ響だった。私自身はベートーヴェンの交響曲…