新海智子「シンフォ」

2018年08月作曲。緩い曲だけど、SoundCloud でいちばんアクセス頂いてる曲(SoundCloud は再生開始時に曲頭が欠けることがあるので、つべで貼る)。

「シンフォ」というタイトルを付けるということは、私自身はシンフォの人ではないという表明でもある。「シンフォのスタイルで作ってみました」という。

いいつつ、「シンフォ」というお題で首尾一貫させる計画だったのが、結局いつもどおりのザッピングになった。

ここでいう「シンフォ」とは、因襲(コンヴェンション)の採用を厭わない、書法の創意(インヴェンション)より雰囲気の表出を優先させる、などの態度を示す語(私の勝手な用法、勝手なシンフォ観です)。

 

0'00"~ 0'23"

次に来る曲本体に対して、ベンダーでピッチを下げてる。

これ自体2つのトラックを使って、トラック間のピッチをずらしてる。

調子外れの感じが欲しいというより、「楽器演奏」とは別文脈の「効果音」的位置付けにするため。

0'23" の撥弦のアルペジオが始まる時、パッと明るくなって、本当の曲始まりであることを明示することを意図してる。

 

1'32"~

持続音が左右にパンするのは、同じ音色・同じ音高の2つのトラックを左右に定位してそれぞれ別の周期で強度変化してるから。

 

1'35"~ 1'41"

木管とグロッケンの音形は、これもピッチをベンダーで変えて「効果音」の扱い。

 

「シンフォ」作曲とたまたま同時期、別件で、ある「気付き」を得た。

Chris Squire 'Hold Out Your Hand' の 0'14" 目のメロディがイヤーワーム化したのだが、咄嗟にこの曲だと同定出来なかった。

ギターの音色で脳内再生されてしまったからだし、Genesis 'The Chamber Of 32 Doors' のイントロが連想されて、邪魔されたから。

この経緯があって、両曲のイントロの造形に共通点があることに気付いた。トゥッティの和音の連鎖をモニュメンタルに聳え立たせ、その合間のソロ・パート(Squire 曲における Squire のベース・ソロ、Genesis 曲における Hackett のギター・ソロ)との掛け合いに造形する。

私の「シンフォ」の、0'52" のギターのメロが 'The Chamber Of 32 Doors' からのパクリ、0'57" のベースのメロが 'Hold Out Your Hand' からのパクリなのは、たまたま上述の「気付き」が「シンフォ」作曲と同時期に起きたから、というだけの理由。

もともと中間部をロックにするプランではあったけど、同じAメロをアレンジだけ変える(ドラム、ベース、ギターを加える)だけでも、おっ!と思わせる効果がある、という安直な料簡だった。それは避けられた。

シンフォという合言葉には、そういう創意の無さをも「らしさ」として言い訳させる機能がある。