当ブログで一度だけ ELP を取り上げた時、「作曲として最もやり切ってる」1曲として挙げたのは 'Piano Concerto No. 1'(Emerson 曲、"Works, Vol. 1" (1977) 所収)でした。
衆目の一致するところとして、最高作は 'Karn Evil 9'("Brain Salad Surgery" (1973) 所収)と見て間違いないと思います。
でも、じつは、わたし的に、テンペラメントとしていちばんぴったり来るのは、'The Endless Enigma (Pt. 1)' なのです。
私は常日頃、雰囲気のために音楽を聴かない、と表明しています。
が、じつはわたし的「イギリス的」カテゴリーというのがあって、作曲の内実とは別に、この「イギリス的」に当てはまるものに対しては、点が甘くなります。そしてこのことについて「テンペラメント的にぴったり来るのだからしょうがない」と、言い訳になってるのかなってないのか判らない言い訳をします。
'The Endless Enigma (Pt. 1)' の、歌メロと、ハモンドによるそこへの和声づけは、わたし的「イギリス的」の典型です。
そして、曲開始から歌メロに至るまでの展開は、ELP の全仕事の中で最も創意の目覚ましい2分半です。
いったいに ELP は各部の出典が判りやすいことが多いし、「いかにもエマソン的」な作曲技法もあるけど、この2分半は、それらに拠らず、まったく聴いたことのない斬新な音楽を手繰り寄せんとする姿勢を感じます。たんに私が出典を言い当てられないだけかも知れませんが…
ただ、ほんとうにこの1曲に尽きるのであって、これを収める "Trilogy" (1972) がアルバムとして好き、とはならないです。
この曲は、エマソンとレイクの共作として、両者の美点が相乗効果を挙げてるという点でも、このバンドに稀有かも知れません。