ポップのキー

この曲、私には「ドミナントの E をメインに進行する、キーが A の曲」に聴こえてしまうんだけど、「E がキー」と捉えるべきなんだろうか?

つとめて E がキーと取ろうとすればそのようにも聴こえ始めるけど、それだとつまらない曲になってしまう。

どちらと取るにせよ、どちらかに落ち着かせないと落ち着かないというのは、調性的捉え方に囚われてるということで、そこから自由になってただ鳴ってるままに聴くということが私にはもう出来ない。

Devo 'Space Junk' のキーは G なのか D なのか問題」と同様のケース。

 

7th. が♭なために「ドミナントのまま持続してる」感=「ここに安住」ではない「どこかに向かってる」感がある。キーが E なんだけど、E→A が「サブドミナントへの進行」よりも「臨時にトニックに解決」めいて聴こえる。

イオニア旋法を中心とするカデンツに慣れた耳にとっては、の話。

 

Perfumeポリリズム」でいちばんびっくりしたのは「トニックに行かない」ことなんだけど、奇を衒ってトニックを「避けてる」のだと捉えるのは、囚われた発想だと思う。

カデンツが、曲構成の原理であることをやめて、断片化されてて、「グッと来るフレーズ」と同義になってる以上、起点とか落ち着く先とかはもともと無い。

トニックを基準としそこからはぐれてるのではない。で、私はこういう例をこの曲で初めて意識したけど、ポップにはありふれてるみたい。世事に疎すぎた。

 

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