「ポピュラー音楽では(イントロとともに)曲の終わらせ方が重要だし難しい、なので意表を突くあるいは気の利いたエンディングの曲に出会うとおお!となる」というご趣旨の御ツイートを拝見し、なるほどと思った。
それで私も、自分の曲の中から「意表を突くあるいは気の利いたエンディングの曲」を見繕ってここに貼ってやろう、と意気込んだのだが、1曲も無かった。
何故だろう? もちろん私の曲は「ポピュラー音楽」である。
思い当たった。そもそも私は曲を終わらせたことが無いのだ。
必要な用件を言い、用件が済んだら黙る。そこで曲は終わるけど、私が終わらせるのではない。
アフォリズムを連ねてゆく。どこまでも続けられるし、どこででも止められる(たいていの場合「ネタ切れ」というやんごとなき事由で止まる)。用件といってもリニアな起承転結が無く、だから「止める」といっても「終える」のではない。終えるべき「筋」は無い。
むりくり1曲貼る。
最後の1音(0'53" 目)はピアノの最低音 a で、強打のスタカートの直後、そのリリース(余韻)が終わる前に同じ高さの音を弱く弾いて伸ばしてる。実際のピアノ演奏でいうと、強打して鍵盤から指を離した後、リリースが消える前に長音ペダルを踏み込む、その効果が欲しかった。
でもこれは、それをたまたま曲最後の音でやった、というだけで、終わらせ方の問題ではない。
曲を始めたことも無い。初めに思い付いた楽想が曲頭に来るだけだ。
友だちのミュージシャンが言ってたけど、ここ数年「いきなりサビを持ってくる」曲が急増したらしい。理由はSpotifyなどのストリーミングが増えたから。冒頭で引き込まないとサビの前にスワイプされちゃう。せっかくのいい曲も、この事実を知っているのと知らないのでは届き方が全然違ってくるらしい。
— 松尾幸治 | リチカ (@yukiharuharu) 2020年9月16日
このツイートについてはいろんな方がいろんなご意見を述べてらしたけど、私が思ったのはただひとつ、
サビ以外の箇所はダルくてもOKとでも思ってるんだろうか
だった。
私自身が作曲するときにはサビという発想が無い。敢えて言えば私の曲は全ての箇所がサビだ。
「出合頭のインパクト」は大いに気にする。でもそれを「ダルい部分を後回しにする」ことで達成するのではないし、Spotify が出現しようがしまいがもともとそうだ。