メモ(トポス)

「絵本原画展」を観に行くというのは、「絵画展」を観に行くのと似てるようで、根本的に違う。

オリジナル一点物のタブローに会いに「絵画展」に出掛ける。その複製を収めた「図録」を買ったりする。

絵本においては、「原画がオリジナル一点物の作品で、絵本はその複製・図録」なのではない。飽くまで「絵本=オリジナル作品」だ。

原画は、原画自体の完成を目指して作られるものではない。これが、印刷され、製本されて「絵本」になったときに最も美しく・最も作者の世界が具現してる状態であることを企図して、原画は作られる。

原画展に出掛けるというのは、もしかしたら、メイキング映像とかデモ音源集とかを面白がるのに近いのかも。ちがうか。

 

ライヴを録音して CD にする時、

「図録」に徹して、ライヴ=一点物オリジナルをなるべく如実にコピーしようとするのか、

CD こそがオリジナルで、作品として作り込むもので、ライヴはそのための素材、と捉えるのか。

 

私自身は打込みの人なので、メディアに乗せる時に捨象されてしまう要素がもともと少ない音楽をやってる。

そういう私が、演劇、とくに野外演劇に憧れる。「どこで行われるか」が重要なやつ。「その場所」に出掛けてゆかなければ出会えない・体験出来ないもの。演者と観客が場を共有し、両者とも場を経験し、両者とも場を生み出す。圧倒的にメディアに乗らないもの。