Canarios "Ciclos"

Canarios の 4th. アルバムにして最終作、LP だと2枚組の大作 "Ciclos"(Ariola、1974年)は、LP でも CD でもリリースが多いし、日本でも1977年にはビクターから出てる。1980年にはキングの European Rock Collection に入ってる(レーベルは Ariola)。

記事もたくさんヒットするので、私風情が屋上屋を架す意義は無いのだけど。

 

ヴィヴァルディ『四季』を素材にしてて、原曲の12の楽章の要素をひととおり使ってるうえに、オリジナル曲を、作曲スタイル的にもモティーフ的にも器楽・声楽編成的にも自由に大胆に挿入してイマジネイションを延べひろげてて、トータル73分越えの一大奇観になってる。

私個人的には、この挿入されたオリジナルの箇所が面白い。原曲をロックのバンド・サウンドに置き換えてる箇所は、そもそも原曲が身も蓋も無い音楽であるうえに、ロックへの置き換え方にいまいち芸が無くて、展開がじれったい。

オリジナルの箇所、ことにアルバム冒頭6分45秒間を、わたし的「プログレのかけがえのない達成」のひとつとしてかなり推す。

フル・アルバムで貼ってしまいますすみません。

 

Canarios (Los Canarios)

Eduardo "Teddy" Bautista(ギター、ヴォーカル)により1964年にカナリア諸島ラス・パルマスで結成。当初は The Canaries を名乗る。

1967年のファンク曲 'Get On Your Knees' などはヒットしたらしく、ソウル~ R&B が当時のバンドの音楽性であるらしい。

1972年に Ariola からライヴ盤 "Canarios Vivo!!!!" リリース後、Bautista はメンバーを一新、"Ciclos" を録音。外された旧メンバーはファンク/ソウル・バンド Alcatraz を結成。

Bautista の場合「プログレ化」と「シンセやエレクトロニクスの実験」とが分かちがたいようなのは、どっちが契機でどっちが帰結なのか。