前回 'The Knife' に言及したのを承けて。曲についてというより、Genesis のリミックスへの違和感について。
昔いちど書いた内容だけど、その時は、別件の記事の末尾に、ついでみたいに追い込んだので、改めて。
以下。
この音源はいつのエディションか私には判らないんだけど、リマスターによってかなり大きく改変されてる。
私がいちばん気になるのは、ヴォーカルに掛かるエフェクト。
3か所、①1'13" 目、②2'09" 目、③8'27" 目。3か所とも同様にディストーションとフランジャーとイコライザー(かな?エフェクト名よく判りません)が掛かってる。
これはオリジナルに近いミックス。
①②はリング・モデュレイション(かな?)、③はリヴァーブが深くなってスケール感を演出して曲を終えてる。
私はこのオリジナルの処理が好きなので、リマスター改変が残念。
Genesis のリマスターは何種類かあるようだけど、無謀な処理が多い。
"Broadway" が冒頭フェイド・インで始まるとか。'The Lamia' 終わり近くのフルート・ソロが聴こえないとか。"Nursery Cryme" で曲間が無くクロス・フェイドになってるとか。'Visions Of Angels' のメロトロンの出のタイミングとか。そこに積極的な意味は何も無いと思う。
つべで聴いたものなので、それぞれいつのエディションか、特定できてないのだけど。
以上。
'The Knife' は、"Trespass" 収録曲中、のちのちまでライヴのレパートリーに残った唯一の曲*1、ということは、John Mayhew と Phil Collins の聴き較べが出来る、残酷な曲。
Mayhew と Collins の差って何だろう?
タイム感についていうと、Collins のフレーズの繊細さは、符割的に細かいということもあるけど、符割が16だろうが32だろうが、この正確さや、これに基づくグルーヴをチェックするためには、クロック単位(例えば384分音符単位)のレゾリューションが必要で、むろん Collins はこれを具えてる。
対して Mayhew は、16ないし32ステップのドラムマシーン的イメージがある。
あと、音色。Collins は一打一打の音色が磨かれきってる。Mayhew のドラミングが大雑把で一本調子で大味なイメージなのは、タイム感と同時に、音色によるところが大きい。これが技術的にどこをどうすれば改善するのかは私には判らない。強弱法? ストロークの瞬発力?
といいつつ、私は Mayhew の、パターンではなくフレーズ主体なところが好きだし、そのがむしゃらなやんちゃさを愛してる。'The Knife' についても、Collins に代わったために失われた何かが、確かにある。ロック・スピリット的な何か。
追記(2023年07月28日)始め
ただ、とくにドラムは、トラック・ダウンによって印象が大きく変わるだろうから、比較が難しいかも知れない、とも思う。
追記終わり
関連記事:
*1:'White Mountain' は A Trick Of The Tail ツアーで復活したけど、ほぼ別曲になってる。この時のドラムは Bill Bruford。