自分は記憶力が良い、と思ってる。
頭の中は、当然のことながら、憶えていることだけで構成されている。忘れたことは、それを忘れたということを含めて意識の上に現れないので、「自分は全てを憶えてる」と思ってる。
大昔に経験した、親密な出来事だったけど、いったんすっかり忘れてしまったものごと。他人様のバンドでキーボード・パートを弾いた曲とか。
何日も掛けてリハして完全に暗譜して、身体に憶え込ませた曲。当時の録音が出て来て、数年ぶりに聴き直す。聴き直し1回目では、初めて聴く曲みたいに聴こえる。何度か聴くうち、知ってた曲のように思い始めるんだけど、これが「徐々に思い出してる」のか「新たに憶え直してる」のか、自分で判別出来ない。とにかく「記憶」として「修復」された状態になる。「再構成」というのが正しいんだろう。
ヤマザキのジャムパンとあんぱんそれぞれのパッケージに「ジャムがさらにおいしくなりました」「あんがさらにおいしくなりました」と書かれてる。
さらにおいしくなる前の商品は賞味期限をとうに超えて、この世に現物が存在しない。味覚は欺く。現にここにあるパンと、記憶の中のパンとを、公平に比較することは出来ない。「おいしくなりました」の真偽を確かめようがない。
あとクリームパンには「クリームがさらにおいしくなりました」と書かれてないのが気になるといえば気になる。おいしいけど。
あとあんぱんはあんパンじゃないんだな。
「長野市」って聞き憶えが無い… 上田市よりもっと北なのか… マジで長野県の県庁所在地は松本市だと思ってた……
最近、知ってたけど忘れたのかもともと知らなかったのか判らない、という事例が増えた。Wishbone Ash のドラマーの名前とか(Steve Upton です)。
ちなみに、叔母は Wishbone Ash の来日公演を観たのだそうだ。大阪厚生年金会館(オリックス劇場の前身)、おそらく1975年。
初めて見る外タレのライヴだったらしい(他には David Bowie とか Roxy Music も観たらしい)。最初幕が閉じてて、その向こうにメンバーが現れた気配がしたと思ったら、幕が真ん中から左右にサッと開くと同時に1曲目がガツン!と始まって、初めて生で外タレを見る感動と、度肝を抜かれたのとで、泣いたんだそうだ。
Roxy Music の場合は最初から幕が開いてて、ドラマー(Paul Thompson?)から順番に加わっていって、最後に Bryan Ferry が現れる、というやつだったらしい。叔母の記憶に基づく、オーラル・ヒストリー。