モテたい② (King Crimson 'Starless')

'Starless' について書けばモテる筈。

 

最後ちかく、最高潮に達したところでイントロが戻ってくるのに感動する、とおっしゃる方が多い。

私も同意する。ただ、それはまずもって、イントロのギターのメロが、サックスとオーボエのユニゾンで再現するところ、のことなんだろうけど、私がいちばん「おーっ!」てなるのは、じつはそのあとの箇所。

 

この話の前提としてまず、曲ドあたまの…と説明をコードネームで済まそうと思ったら、最初のコードが「Gm/D根音抜き」とも「Daugサード抜き」ともつかねえでやんの*1

大の苦手、譜面書き。

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曲ドあたまのコード進行、(最初の2拍の小節含めて)6小節目でトニックの「Gm」に行くんだけど、ベースが D のままなので「Gm/D」。この定まらなさの響きが、イントロの不穏さの理由のひとつ。

 

で、曲最後のリプライズ。件のサックス+オーボエの後、このコード進行も戻ってくる。この時、イントロ6小節目では D のままだったベースが、トニック G に行く。「定まらなさの Gm/D」だったのが、ここに到って初めて「決然たる Gm」として鳴る。

私はここで決定的に感動するのだ。

 

追記的関連記事:

*1:まあそのうつろな響きがここでは効果的だ。

こういう場合、より素直な「Gm/D根音抜き」と聴き做すのが常道なのだろうが、「Daugサード抜き」の可能性を思ってしまうのは、'Epitaph' の「Baug→B」との連想から。

'Starless' の曲調には『宮殿』回帰のベクトルがある。冒頭のトップ声部「B♭→A」に 'Epitaph' の谺を聴き取ってしまうのは、むしろ自然なことだ。