陶酔のポップ 2話中2話目

「私」と「あなた」の関係こそが、リアリティだし、強いし、陶酔だ。

社会性もイデオロギーも、この基本の上にある。

 

前回、「ロックなり演歌なりの既存のジャンルそれぞれの特徴を述べる」のとは真逆に、私の思う「ロック的」「演歌的」が予めあって、そこにレイラなりミヨちゃんなりを当て嵌めたのだった。

 

ジャンルというと、「ポップ」「ポップス」「歌謡曲」も、どう定義されるものなのか、私の手に負えない。

 

沢田研二は、いっぽうでは PYG の人=ロックの人=表現者だし、もういっぽうではショウビジネスのスターだ。

また、メディアを通じて最も知られた曲と、ライヴでのレパートリー=ヴィヴィッドな意識で演奏され続ける曲とは、別なんだろう。

どの文脈で考えるかによって、彼の「代表曲」が何なのか、意見はいろいろだろうけど、私がいちばん好きなのは、アルバム『JULIE Ⅱ』(1971)所収、「純白の夜明け」だ。

作詞:山上路夫、作曲:加瀬邦彦、編曲:東海林修

歌詞内容もだけど、曲とアレンジの、放心に近い、陶酔。

 

「歌詞内容もだけど、曲が陶酔」といえば、これも。 

「永遠に秘密さ」

作詞:松本隆、作曲・編曲:山下達郎、歌:近藤真彦

1984年。

小節数が「メロディの進行の都合で後付けで決まってゆく」的に自由なのが、良い。

この、いかにも山下達郎のヴォーカルによって歌われるために書かれたみたいなメロディを、近藤真彦のがむしゃらな歌い方でやるのが魅力。

ではあるんだけど、この曲、山下達郎自身が歌った録音とか存在しないんだろうか?