T.Sasaki「スパイキッズ2006」(曲に即して)

T.Sasaki「スパイキッズ2006」について、今回は曲に即して、私の気付いた点を。

 

①。

原曲、ユニット「スパイキッズ」による「スパイキッズ」のシングル CD の、ジャケと歌詞を見たのと、音を実際に聴いたのとに時間差があった、この「スパイキッズ2006」は、歌詞とジャケ・デザインに触発されて、原曲をまだ聴かない時点で思い付いた、という。

ただ、思い付いたものと原曲との差が大きかったから思い付いたものを形にしたわけで、打込み作業は原曲を聴いた後に取り掛かった、つまり原曲は参照された筈である。

というのは、サビ「スパイキッズ スパイキッズ ワレワレハ スパイキッズ スパイキッズ」へのメロディ付けが、原曲と似てるので。

但しこれは、原曲を踏まえたから、とも、この歌詞は必然的にこのメロを導き出すのだ、とも解釈できる。

原曲。そらいろのきりん関西組による演奏。

 

②。

スパイキッズ2006」の特徴はなによりも、短い楽想を継ぎ接ぎしてゆくスタイル。

原曲では「1コーラス目、2コーラス目…」として各コーラスとも同じメロが付されるところ、「スパイキッズ2006」のほうはその都度違うメロ、違うアレンジになってる。

こうなる理由は、どこまでも音楽の都合なんだろうけど、いっぽうで、歌詞の箇所箇所の内容に相応しい楽想を求める結果このランダムな形式になった、ということもあるだろうか? 微妙に、各部分の曲調が歌詞内容に沿ってる気がしなくもない。

「スパイキック!」の直後の2発のアクセント(1'21" 目)はその露骨な例。ステージ上でのフリが見えそう。

 

③。

各箇所の各楽想は、まったくユニークなものも、既存のスタイルや音形の引用ないしパロディと思えるものもある。

また、バンド・サウンド的な箇所と、打込みとして自由にやってる箇所とあって、前者ではアレンジ的にもアーティキュレイション的にも生バンドをシミュレイトし得てると思う。

1'18"~ は、アレンジは1960年代のギターサウンドっぽく、メロの形は TVCM のサウンドロゴみたいにキャッチー。なかで「切り抜けましょ」の「ラドラシレド」は、黛ジュン「天使の誘惑」を連想させる。歌メロの 0'43" 目、1'15" 目、など 。

ちなみにこの曲、1'11" 目と 2'30" 目の弦楽パートへのディレイ処理にびっくりする。作曲編曲は鈴木邦彦。作詞はなかにし礼。1968年。

 

これは全く私個人の感じ方だけど、0'59"「失敗は許されない」の「しっぱいはゆ」の「ソラシラソレ」の動きが、クラシック由来に聴こえる。

どうやら私は、これ

の 3'15"~ 3'31" のヴァイオリン・パートの「レミファミレソ」を連想してるらしかった。

この「失敗は許されない」の、歌メロが楽節終わりを8分音符でみっちり埋めて次のサビにそのまま流れ込むのが好き。

 

「打込みとして自由にやってる」例としては、0'31"~ 0'51" でのベースの音域がある。生ベースでは出せない極端に低い音。

 

④。

自作曲からの使い回し。

楽想のうちいちばんユニークだなあと思うのは、1'29" からの5小節、サーカスを思わせるような3拍子の挿入。ここのヴァイオリンの音形は、自作曲「改作のワルツ」にも出て来る。1'08" 目。

2'35" からのコーダは、「山下」1'30" 目と同じもの。

それぞれ、どっちがどっちの使い回しなんだろう?

 

⑤。

1'34"~ がひとつのクライマックスといえる。登り詰めた 1'44" 目、人声による和音のロング・トーンが、天上的に美しい。ベースの d と a の重音上の、A♭7。7th コードということは、4声。

KORG 01/WFD のオケにこのパートは無い。また、サンプラーの類は使ってない筈である。この和音は、じっさいにこのように歌ってるのである筈。

 

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