下書き放出(Caravan)

私は「カンタベリー好き」とはいえない。

私が求めてるのは、着想の突飛さ、造形の目覚ましさ。

そしてユーモア。取り澄まして羽目を外すやつ。

カンタベリーの中に、私好みの要素をことさらに見つけて喜んでる。カンタベリーの聴き方として邪道なんだと思う。

 

リフが苦手だし、ジャズ・ロックが苦手だ。

「ジャズ・ロックが苦手」というのは粗雑な言い方だけど、作曲よりも演奏主体で、ソロが延々続くもの(リフ上でやるにせよ、モード・ジャズ的にやるにせよ)が苦手。

リフは「乏しいアイデアで時間を埋める卑怯」だと思ってる。

 

Caravan 入門者は、世評に随い、

"In The Land Of Grey And Pink"(Deram、1971年)

"For Girls Who Grow Plump In The Night"(Deram、1973年)

から聴き始めることになる。ところが私はこれらの、どこをどう聴けばよいのか判らなかった。ことに前者はおよそ退屈だけで出来ていた。私にとっては。さっき言った理由で。

このアルバムが人気なのだとすれば、その理由の殆どは、美麗ジャケにあるのではないか? 「ジャケのせいで音が違って聴こえる」の最適例なのでは?

 

私の求めるものはむしろ 1st.、2nd. にある、とのちのち知ることになる。

2nd. アルバム "If I Could Do It All Over Again, I'd Do It All Over You"(Decca、1970年)から。

 

1st. アルバム "Caravan"(Verve Forecast、1969年)から。

この動画の画像は2010年のコンピのジャケで、1st. のジャケはこれ:

私自身はまだ、このアルバムの2曲目と3曲目、'Ride' と 'Policeman' を聴けてない。つべで見つからないので。

'Ride' の1999年ヴァージョンは上がってる。"All Over You...Too"(HTD Records、Transatlantic Records、Castle Music、2000年)所収のもの。

'Magic Man' はオルガンの音色・レゾナンスで印象に残る。こういうワウの噛ませ方は誰が始めたんだろう? Caravan が、Dave Sinclair が嚆矢だったりするだろうか? 倍音を豊かにしてカットオフの位置を時間とともに繊細に変化させる。そして深いリヴァーブ。作曲としては引っ掛かってくるものが無い曲だけど、私は倍音フェチなので、こういうのにじつは弱い。