前回貼って久しぶりに聴いたら泣けた。
テンペラメント的にぴったり来るのだからしょうがない。確かにアレンジの美しい曲ではあるけど、「作曲として優れてるから泣ける」のであれば、この世にはもっと先に泣くべき曲がある。
この曲のアレンジが美しいというのは、この楽器編成=ソノリティによる3連の細かい動きが、しかも軽やかであることだけど、これは一般の「泣かせに掛かる曲」とは真逆のベクトルだ。泣かせる意図のある曲は、ゆっくりのテンポ、息の長いメロでにじり寄って来ることが多い。
必ずしも作曲内容によるのではない「泣ける」はつまり「なつい」に近いわけだけど、私はこの曲を聴いて過去の個人的体験を思い出すとかの事情をもってはいない。「昔よく聴いた、これを聴くとその頃のことを思い出す」という、条件に依拠する「なつい」ではない。
前回も書いたけど、Jemaur Tayle のヴォーカル・パートが幅広く上下するために、箇所によって Caroline Crawley パートと上下が入れ替わるのが面白い。ハモリは時々3声、4声になる。
この曲のアレンジでいちばんハッとするのは 1'56" 目に2発鳴るチェレスタ(のように聴こえる音色)だけど、私の聴き洩らしでなければ、この音色が使われてるのはこの1か所だけだ。そういえば、ハープも、3'04" 目のアルペジオ1発と 3'06" 目のグリッサンド1発、私に聴き取れるのはその2発だけ*1。
ふと思い出す。私はじつは Dave Stewart & Barbara Gaskin を大好きではないんだけど、'I'm In A Different World' では、2'56" 目にサビが戻って来る時に、真ん中の定位でチャイムの音色が1発、鳴る。この1発が Stewart のアレンジ・センスの鋭さを証してる、と思ったのだった。この音色、どう聴いてもこの1か所でしか鳴ってない。
*1:3'01" 目にも何か鳴ってる気がするけど空耳レヴェル。