Genesis 'Visions Of Angels'

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Genesis 'Visions Of Angels' の旧邦題は「天使の目」だった。この意味なら Angels' Visions(もしくは Angels' Vision)になりそう。of の誤訳で、見る立場と見られる立場が逆転してる。 

つまり、正しくは「天使の幻影」。「天使が見る幻影」ではなく「天使の絵姿をした幻影」*1

 

それで思い出した。

言葉の使い方について、「正しい」の理由を安易に「慣習」に求めないこと。何故「がの」「をの」という助詞がないのか、疑問に思ってみる。だって「君の夢」じゃ your dream なのか a dream of you なのか区別がつかない。「君がの夢」「君をの夢」って言えたら一聴で区別がついて便利なのに、「正しい」日本語と認定されない、不合理。

 

("Trespass" 収録曲の旧邦題では、'Looking For Someone' が「何かを求めて」というのも、何故???だけど。)

 

'Visions Of Angels'、何年か振りで聴いた。小6当時(断っておきますがそんなに大昔じゃないです)これですっかり満たされていたのが何故なのか、よく判らなくなっていた。

つまりは当時の私がナイーヴだったわけだが。イントロでピアノが同じ音形を繰り返すのに対してコード付けが変わってゆくとか、音色の魅力(ハモンドの、バックコーラスの、フルートの)とか、ヴァースやサビが繰り返されるたびアレンジが変わってるとか、頻りに転調する和声とか、そういういちいちが、当時の私には新鮮だったし、というよりその種のクラシカルなプログレの作法(さくほう)に、この曲で初めて出会ったのだった。

「毎回アレンジが違う」でいちばん目覚ましいのは、3回あるサビのうち、1回目と2回目(1'04"~、2'02"~)は素直にラウドなのに対し、3回目(4'49"~)ではいったんドラム抜きのカームにしてる点。そこをカームにするために、直前の楽節のアレンジも変わってる。タム2個同時打ちとシンバル+キック、交互の強打。からのサビの弱奏。

「後のサビを弱奏にする」工夫は、'Seven Stones'("Nursery Cryme" 所収)でもやってる。

 

たしかにこの曲、メロの全てが美メロだ。

展開に無理がなくむしろ歩みが粛々としてる、ビートの変化もあまり無い、というのは当時も感じたことだし、この曲単独でというより、アナログ盤A面の、それぞれ性格の違う3曲の作る「流れ」で感動してた、というのはある。短調2曲のあとの、ハ長調。歌詞は明るい内容ではないようだけど。

ちなみにアナログ盤のジャケの表記では、A面に「7.00」の長さの曲が3曲並んでて、かっこいい佇まいだった。CDを買って、これが嘘だと判ってしまったが。

 

この曲、3コーラス目以降(4分09秒目~)にメロトロンが出て来るのだが、リマスターのエディションによっては、間奏の、2分49秒目から既に鳴ってるものがある*2。新たに加えたのでなければ、オリジナルではメロトロンのトラックがこの箇所でミュートされていたことになる。

(あるいはオリジナルでも隠し味程度の音量でハモンドに重ねてあるのかも?)

私は、メロトロンはここぞという所で使うものだと思ってるので、オリジナルが正解だと思う。それに、この箇所には生声のコーラスがあって、先に言ったように、私はその音色に魅了されてた。メロトロン有りのヴァージョンでは、メロトロンを優先するせいでこのコーラスが、音量的にも引っ込んでるし、存在意義が割を食ってる。

*1:ちなみに vision は、

「幻影」の意味では可算名詞、

「見る力」「洞察する力」の意味では不可算名詞、

「未来像、ヴィジョン」の意味では可算名詞。

*2:CDが手許に無いので現物で確認できないのだけど、どうやら「2007年リマスター」が、それ。