ケベックのバンド Ère G の唯一作 "Au-delà des ombres"(2002年)。
以前も取り上げたけど、「つべが削除されて悲しんでたけどニコ動に上がってるのを見つけました」記念に、再度。
ジェネシスフォロワー聴いて何かを得る事って凡そ無いけど、Ère G には本当の創意を感じた。
多くのフォロワーが 'The Cinema Show'「後半」を真似るのと違って、Ère G は同曲「前半」を受け継ぐ。
「前半」は、真似すれば済む世界じゃない。
受け継ぐことがすなわち創意であるバンドって、滅多に無い。
ここにリンクする表題曲はとくに内発的で独自で、ジェネシスフォロワーの括りは、無礼です、済みません。
以前カケレコさんのサイト
にレヴューを投稿した。ちょっと手直しして、以下。
「楽想てんこ盛り」
ジェネシス・フォロワーを聴いて納得することは滅多にありませんが、この CD の、声部や音色を丹念に重ねる手際の繊細さと、楽想の豊富さを、最大級に評価します。
「ザ・シネマ・ショウ」前半の間奏を継承するような、12弦の静謐なアルペジオのリフの上を、管や弦が、時にソロで、時にハモって、時に対位法的に絡み合って、フレーズを惜し気も無く次々に繰り出すパートにうっとりします。
演奏も歌心がありクォリティ高いですが、特筆すべきは作曲態度です。
惰性を拒絶する、全瞬間を真に有意の楽想で埋めんとする、よほど自己批評の鋭い作曲です。
メロディの一々が本当に綺麗ですが、感情を込めて歌い上げるメロ美ではなく、造形として本当に練れた美です。
如何にフレーズや音色の重ね方が繊細か、如何にアレンジ上の必然に基づいて各パーツが配されてるかは、6曲目(註 ↑にリンクした表題曲)の、イントロのフルートのフィルインのひとふしを聴くだけで判ります。
ニュアンスのたゆたいの音楽にあって、唯一不釣り合いなのがドラムで、やけに単調で凡そ「フレーズ」というものが無い、と思っていると、ラスト曲の2分21秒目からの1分間、フィル・コリンズばりの怒涛のフレーズで「やればできる」ところを見せつけます。
ヴォーカルはミックスバランス的に小さめで、力まない発声と正確な音程で純正にハモって、魅力的です。
以上。
以前の記事というのは、これ
です。この過去記事の後半と、今回の記事とが、ほぼ被ってます。
追記 2019年12月21日
bandcamp 発見:
2002年のアルバムの他、2014年8月リリースの2曲。
HP:
Ère G は、マルチ奏者(お写真はどれもベースを抱えてる)Robin Gaudreault のソロ・プロジェクト(ゲスト多数参加)、ということのようです。