国なり地域なりで括って音楽を紹介することは、検索の利便のためくらいに思っておくべき。
アーティストを論ずるのに、必ずそのアーティストの「国籍から」お始めになるライターさんっていらっしゃる。
「国籍」と「エスニシティ」は違う、という問題もあるけど、ここでいうのはそれじゃなくて、「音楽そのもの・作品そのものに正対する」ことが大事、という話です。
「その国なり地域なりのアーティストたちに共通しそれらを特徴づけ他から区別する「○○的」なる特質」という幻想を前提に作品に向き合うの、バイアスでしかない。
といいつつ、同一のアルバムが UK ヴァージョンと US ヴァージョンとをもつ場合、両者のあまりにもの「UK らしさ」「US らしさ」に笑ってしまうケースって、たしかにある。
Rachel Sweet はアメリカの歌手、俳優だけど、1st. アルバム "Fool Around" はまず1978年10月にイギリス Stiff Records から出た。アメリカで出たのは1979年07月、Stiff-Columbia から。
収録曲が違う。私がいちばん好きな曲、'Just My Style' は、UK 盤のオープニング曲だけど、US 盤には入ってない。
2'07" 目の3小節、2本のギターの「線的対位法」から、私はドビュッシー『プレリュード第1巻』第12曲「ミンストレルズ」の1か所を思い出す。
この動画でいって 1'10" 目。演奏はミシェル・ベロフです。
'It's So Different Here' は両方に入ってる。
わたし的この曲の美点はひとえに、サビの1か所、0'41" 目の一瞬。の、歌メロとコード進行の関係。
F♯m がキーの曲で、コードが Bm に進む時、メロがその 7th. である a に進む。
歌詞でいうと「It's so different here - so hot,」の「hot」。
流れでそうなってるというのではなく、わざわざそこに持ってゆく。
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