Sly And Robbie、Bill Laswell

Sly And Robbie のベーシスト、Robbie Shakespeare が12月08日に亡くなった。

この過去記事を投稿した当時、アメブロRendezvous 6:02 氏から丁寧なコメントを頂戴し、いろいろご教示頂いた。

私は Sly And Robbie をたまたまこの 'Boops (Here To Go)' 1曲で知っていて、彼らについて目にする「ジャマイカのレゲエのリズムセクション」という枕詞と、この曲のスタイルとが、私の中でうまく結びつかずにいた。

Rendezvous 6:02 氏から、この曲を収めたアルバム "Rhythm Killers"(1987年)のプロデューサーが Bill Laswell であること、彼の影響が大であること、を教えて頂いた。

繰り返し現れる文言「fire」は、ファンク・バンド Ohio Players 'Fire'(1974年)の流れを汲む("Rhythm Killers" のオープニング曲のタイトルが 'Fire' だったりもする)。

氏によると、この 'Boops'、これを含む "Rhythm Killers" は、

「『'70年代には存在しなかったファンク, ジャマイカには存在しなかったレゲエ』を作り出そうとしている」「アナログ感のある音」

「ジャマイカには決して存在しないダブ作品であり、それをジャマイカを代表する本物であるところの Sly & Robbie が演奏しているところ」を楽しめるとのことだった。

 

この系統の Bill Laswell 作品として、Material 名義の "Hallucination Engine"(1993年)を教えて頂いた。

つべで聴いた当時の感想。

ふだん、例えば「ドラムの音」として聴いてる音は、ありのままの未分化の音の状態の中から、概念のフィルターで「ドラムの音」と名付けられる成分を抽出してるのだ、というようなこと。

このアルバムが、認識に作用して幻覚を聴き手の中に生じさせる機能をもつのか、あるいはアルバム自体が既に幻覚の描写・記述なのかは、判らない。

が、1曲目でドラムの生音とディレイ処理された音とが分かれて聴こえるところなど、未分化状態からの2つの幻覚の抽出、現実という幻覚と、もうひとつの有り得た幻覚、の「描写・記述」のように思えた。

"Seven Souls"(1989年)も教えて頂き、Material を聴かずに今まで来てしまったのは相当にマズかった、と悟った。