Deep Purple の 'Child In Time' と 'Speed King'

追記(2021年11月21日)始め

① "Deep Purple In Rock" のA面2曲目、'Bloodsucker' の存在を完全にハブってました。済みません!

Rendezvous 6:02 氏から、'Child In Time' は It's A Beautiful Day の 'Bombay Calling' からの引用である旨ご教示頂きました。ありがとうございます。

追記終わり

 

小6の私の学習ノートは落書きだらけだった。なかに

ビハインド・タイム・パースン

のひとことが書き留めてあった。

学校で英語を習い始める前の、文法も構文も知らない小学生が、思い付いた日本語のフレーズを、叔母の持ち物の和英辞典と格闘しつつ、英訳を試みたとおぼしき句は、数か月後にこれを発見した私自身がもう、何を書き留めたつもりだったのか推測不能になっていた。

Deep Purple 'Child In Time' が衝撃のひとつだった時期と符合する。だからまずは、このタイトルの意味を知るべく当たった英和辞典に in time の対義句として behind time を発見した、のだったかも知れない。

「人」の英訳として得た person を機械的に当て嵌めるとか、語順が英語じゃないとかの小6しぐさ。にしても「間に合わなかった人」が何なのかは今も謎のままである。

 

'Child In Time' で私が特に美しいと思って印象に残ったのは、1'40" 目までの、ライド・シンバルを中心とするドラムのアレンジと、就中そのあとのドラムの音色だった。 Ian Pace の音色がというわけではなく、録り方。「空気感」が、プログレの音の出来事の大切なひとつとして私の中に刻まれた。

 

曲や演奏を真似るのが不可能な以上に、こういう「質感」を再現するのは不可能なのではないか、と直感した。

 

この曲がショックだった理由のもうひとつは、これが 'Speed King' の次に置かれてることだった。「ハード・ロック」が徹底され打ち出された次にこれが来る落差。

 

実家の日本盤 LP でだけ聴いてたために知らなかった、といえば、'Speed King' に1分半のイントロが付くのを知ったのは、つい最近。これがあるとアルバム全体のイメージがガラッと変わる。

むろんこのイントロ自体は面白いのだけど、アルバム冒頭からプログレになってしまって、'Speed King' と 'Child In Time' の落差、そのせいでの 'Child In Time' ショック、は薄れてしまう。

 

じつは当ブログ以前いちど、この曲に言及してる。私はリズム音痴だったのでこの曲のリフがアウフタクトなのを吞み込むのに時間が掛かったことと、The Moody Blues 'Procession' にこのリフに似た音形が出て来ることについて。

 

あと、この記事

で、「化けた」例として、Deep Purple の "In Rock" での「ハード・ロック打ち出し」を挙げてるけど、これを書いた時はまだイントロの存在を知らなかった。

 

Uriah Heep 'July Morning' を聴いた時は 'Child In Time' のパクリだと思った。"In Rock" が1970年06月05日、"Look At Yourself" が1971年09月*1

 

Genesis 'The Knife' を聴いた時は、ハード・ロックだと思ったしブギだと思った。

ハード・ロックにおけるブギをそもそも私は 'Child In Time' 中間部で認識したので、'The Knife' を 'Child In Time' からの影響と思ってしまったけど、"Trespass" の録音が1970年06月 - 07月(リリースは10月23日)なので、時系列的にはあり得なくはないか。

もっとも、'The Knife' の凄さは、オルガンのリフは「タッカタッカタッカ」のブギだけど、ヴォーカルのメロは「タカタタカタタカタ」の3連で、つまり「ブギのビートにジグを乗っけてる」みたいに聴こえることにあるのだけど。

*1:日本語版ウィキペディアによると、10月。