「長3和音+短6度」の和音といえば、あからさまに判りやすい例があった。ラヴェル『夜のガスパール』第1曲「オンディーヌ」の冒頭。
アルヘリッチ1974年の録音で。
(0:00 ~ 0:10 はノンモンです。)
この盤でのアルヘリッチの、磨かれきった鉱物質の音色と指捌き、夾雑物のない音像は、奇跡だと思う。トラックダウンのせいでもあるんだろう。
気付けば当ブログはラヴェルの曲を、個別にはけっこう取り上げてる。でも以前ドビュッシーでやったみたいにお薦めの曲と演奏をまとめて1記事にしてはいない。
この演奏が上がってて嬉しかった。
ラヴェル『マダガスカル島民の歌』 Chansons Madécasses
00.01 第1曲(ナアンドーヴ、おお美しいナアンドーヴよ!…)
05.51 第2曲(アウア!アウア!白人を用心しろ…)
10.34 第3曲(暑い日に茂った木の下で横になるのは快い…)
エヴァリスト=デジレ・ド・パルニー詩
Frederica von Stade のメゾ・ソプラノ。小澤征爾/ボストン交響楽団とラヴェルの歌曲を入れた1枚(1981年リリース)から。
この『マダガスカル島民の歌』の演奏は、
Doriot Anthony Dwyer(フルート)
Martin Katz(ピアノ)
Jules Eskin(チェロ)
で、Dwyer と Eskin はボストン響のメンバー。Katz はほぼ Stade の共演者として知られてる。
この演奏のわたし的意義は、08'40"~のフルートの攻撃的な音色にある。
この曲はこの演奏で初めて知ったので、当初、このフルートは作曲者の指示でこうなってる、こういう曲なんだ、と思ってた。のちに他の演奏をいくつか聴くと、ここをこの音色でやってるものは無かった。
発声奏法か何か、Dwyer さんの「攻め!」の姿勢だと思い込んでたけど、いま聴き直すと、そういう積極性なのか、たんに本当に演奏が荒くてひっくり返りがち(オクターヴの倍音が鳴りがち)なのか、微妙な気もして来た。
分離の悪いミックス、抜けのよくない音質、不安定な音像の定位は、(この動画アップの際の問題というのももしかしたらあるのかも知れないけど、)オリジナルが既にそうだった。
追記(2023年01月14日)始め
Frederica von Stade による『マダガスカル島民の歌』のつべが、アカウントの停止で、無くなりました*1。
別演奏で貼っておきます。ソプラノは Madeleine Grey、アンサンブルのピアノ・パートは作曲者ラヴェル自身です。1928年の録音。
このつべは、音源にもともとあるリヴァーブの他に、さらに全体に薄くリヴァーブが掛かって聴こえますが、リスニング・ルームのアクースティックな残響なのか、あるいはエフェクターをお使いになってるのか、は判りません*2。総合的に判断してこのつべの音質がベストです。
追記終わり
ドビュッシーやラヴェルとなれば、「長3和音+短6度」の和音は頻繁に出て来る。
ドビュッシーのこれの 3'51"~4'00" のハープとか。