Gentle Giant 'Funny Ways'

さっきこれの 2'41" ~ 2'46" の、転調を明示する2つのコードの連鎖が脳内で鳴りだしたんだけど、咄嗟に何の曲だか思い出せなかった。

続く箇所は「4小節くらいの長さのコード・パターンが繰り返されるラウドなロック」の筈なんだけど、具体的に思い出せない。

思い出せなかったのは、こいつに邪魔されたから:

3'05" ~ 3'42" の箇所。両者には、「曲の初めのほうでカームで提示したものを後半で再現する時、ラウドなロックのアレンジにする」という共通点がある。'Funny Ways' のほうはAメロの再現、'Fallen Angel' のほうはイントロの再現。

たぶんよくある手法だろうから、後者がことさら前者を参照したというわけではないだろうけど。

(あと Uriah Heep 'July Morning' の間奏にも邪魔された。)

 

じつは私はこの 'Funny Ways' を好きじゃない。アコギのコード・ストロークがコード進行を作ってるのが。

Gentle Giant の音楽というと、各パートが有機的な造形のフレーズをやって、それらが有機的に絡み合う、つまり和声も符割もそうやって「内側から」作られるのが常だ。

コードのストロークというのは、和声的にも符割的にも「外枠」だ。外枠をまず設定してその中に音を並べてゆくというのは、Gentle Giant がやるべきことなんだろうか?

つまり私がこの曲を好きじゃない理由は「曲調がフォークっぽいから」ではない。

まあこれが収められてるのは 1st. アルバム "Gentle Giant" で、このアルバムでは方向の可能性をたくさん示した、その一環ではあるんだろう。

1st. からはこの曲だけが後々もライヴでやられ続けた、そのことには理由があるんだろう。

 

ところで、1st. のスタジオ・ヴァージョンでは、0'45" ~ のBメロ

My ways are strange.

が、半拍喰ってウラ拍で歌われるのが、印象的で、かっこいいんだけど、ライヴでは変更されて、小節線に揃えて歌い出してオモテ拍で素直に歌ってる。

これの 1'56" ~:

これは1974年、"The Power And The Glory" リリース頃のライヴだけど、ライヴ音源としては最初期のもののひとつ "King Alfred's College Winchester"(1971年)で既にこうなってる。

たぶん積極的な判断であって、「セコいことは止そう」というか「入り組んだことは他の曲で散々やってるから、この曲は自然で素直な曲として徹底しよう」だったんだと思う。断じて「この曲ではリード・ヴォーカリストの Derek Shulman がベース弾きながら歌うから脳みその負担を減らそう」ではなく。

 

Derek がベースを弾くのは、ベーシストの Ray Shulman がこの曲ではヴァイオリンとトランペットを担当するから。

 

キーボーディストの Kerry Minnear は、チェロ → オルガンとシンセ → ヴィブラフォン → チェロと持ち替える。ことに 4'33" ~ のヴァイブは、キーボーディストの余技どころではない凄まじいフレーズを繰り出す。

即興性の大きいメロだしたぶん即興だけど、ひょっとして、このように「書かれた」ものである可能性はあるだろうか?

この曲のライヴ音源はたくさんあるから、聴き較べれば即興か書かれたものか判るけど、今はその余裕がない。