私はお米(白米)を炊くのに失敗したことがない。これは大問題なのではないか?
炊飯器のマニュアル通りにしか炊いたことがない。本来なら「『水に30分浸す』をやらずにいきなり炊き始める」とか「『5分蒸らす』をやらずにスイッチが切れたらすぐにふたを開ける」とか「『切るように混ぜて余分な水分を飛ば』さない」とか、実際にやってみて、どう失敗するのか身を以て知るのが「実験としての料理」の標準的な手順だ。
つまりは「食」(作るのも食べるのも)が私にとって「わがこと」として積極的にコミットする対象ではなく「なるべく手早く済ますもの」だから、なんだけど。「作曲」については「あらゆる方法を試してみる」し、そのためには「どんな時間的労力的《ムダ》《回り道》をも厭わない」のと真逆に。
音楽は目的、食は手段。
というか作曲にマニュアルは無いしな。作曲の方法を見つけることが作曲なので。
やったのは「水加減」くらい。昔は「かため」が好きだった。「《かためが好き》圧」が、水の量を最終的に「お釜の目盛が推奨してくる量の85%」にまで減らした。かたければかたいほど「おいしい」あるいはせめて「粋」というわけではない、ということを知った、かたさがまずさに転じるポイントを見極めた、のは「実地に経験した失敗」だったといえるのかな。
今は「目盛どおり」なんなら「ちょいやわらかめ」を美味しいと思うようになってて、歳取ったな、と思う。
歳取ったといえば。
Snakefinger "Greener Postures"(Ralph Records、1980)から。
2nd. ソロ・アルバム。私がたまたま聴く機会があった Snakefinger は、これ1枚。若い頃この音をずいぶん楽しんだものだけど、いま聴き直すと、アレンジ的に音色がというかミックス的に音質がというか、耳障りで、つらい。
The Residents との共同プロデュースで、作曲でも9曲中7曲が Snakefinger と The Residents の共作。
演奏は、'Don't Lie' にヴァイオリンで Blaine Reininger が参加してる以外は、すべて Snakefinger。
この記事で、説明が煩雑になるのを避けるために省略してたことがある。
拙作「谷山」の元ネタの心当たりを、むろん私自身いろいろ当たってみたわけだけど、記憶にあった「合唱」の音色からの連想で Jean-Jacques Burnel 'Freddie Laker' に当たるいっぽうで、じつは↑に貼った Snakefinger も思い出されてた。'Golden Goat' 'Save Me From Dali' ではギターを、'Don't Lie' ではヴァイオリンを多重録音*1して和音を奏でる、その音色の感じが連想されてたのだった。
結果的に判明した元ネタ、Fusioon 'Farsa del Buen Vivir' の該当箇所のメロはギターだから、あるいは Snakefinger を思い出しつつ、案外正解に迫ってたのかも知れない。
Snakefinger を聴き直し(てオノレの加齢を実感し)たというのは、この件があったから。
*1:'Don't Lie' は多重録音というよりピッチシフターっぽいけど。