Henry Cow "Legend" は1973年の録音、リリース。
Robert Wyatt "Ruth Is Stranger Than Richard" は1974~5年録音、1975年リリース。
"Ruth Is Stranger Than Richard" のB面*1の曲の並びは、
1. 'Muddy Mouse (a)'
2. 'Solar Flares'
3. 'Muddy Mouse (b)'
4. '5 Black Notes and 1 White Note'
5. 'Muddy Mouse (c)' which in turn leads to 'Muddy Mouth'
で、3つの短い 'Muddy Mouse' は、メインの3曲に挟まって置かれている。↑のつべはそれらを纏めてある。
(a) の歌メロ(メロ①、後述)に、(b) でピアノの対旋律(メロ②、後述)が絡まり、(c) ではこの対旋律にも歌詞が付けられ、歌われる。
このアルバムは、選曲的にもカヴァー曲数曲を含むし、セッションにおける音楽づくりに、エゴイスティックなソロであるよりゲストとのコラボの色合いが濃い。フレキシブルに構えて、エゴ以外の要素に開かれた結果、凄いものが出来上がってしまった感がある。
(前作 "Rock Bottom" は全曲ワイアット作詞作曲だった。"Ruth..." は前作への反省に立って作られたようだから、開放の構えもその一環だったのだろうか?)
ゲストの曲のカヴァーを含むことは英語版ウィキなどにも書いてある。
'Sonia' は Mongezi Feza 曲のセルフ・カヴァー。
'Team Spirit' は Bill McCormick, Phil Manzanera, Wyatt の共作で、もともとは Manzanera のソロ・アルバム "Diamond Head" に 'Frontera' というタイトルで Wyatt も参加して収録された曲。
ところが、'Muddy Mouse' については、「Fred Frith との共作」と書かれてるのみで、「Frith 曲のセルフ・カヴァー」とは見做していない。
タイトルの mouse から連想される、この曲。
Henry Cow 'Nirvana For Mice'。Frith 曲。
前述メロ①はここから来てるのではないか?
そして。
前述メロ②はこれの 5'52"~ から来てるのではないか?
'Muddy Mouse' の絶妙のメロ、その和声との絶妙の関係は、わたし的このアルバムのキモなのだが、改めて聴くとまさに Frith で、ここでも Wyatt は開かれている。
*1:このアルバムの「A面」「B面」はそれぞれ 'Side Ruth' 'Side Richard' と名付けられている。