ピグワールド 香港 まとめ

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前回の記事にも「追記」として書いたのですが、「香港」の余白は、水墨画における「余白の美」的な積極的表現ではなく、たんに消極的な「やりかけ」でした。

なので、そこに、仕上げとして、ススキで手を掛けました。

 

一応イメージに近いものが出来たので、まとめておきます。

 

そもそもこの「香港」は、実在の香港を参照せず、基本コンセプトが「林に見え隠れする家々」(「大都会香港」ではなく)です。

その造形のアイデアとして、3種類の植物を、それぞれ別のラインに沿わせて連ねる、ということをやりました。そうやって林を作り、合間に人工物を覗かせる。

すなわち、竹を逆S字のラインに沿わせ、木とアジサイをそれぞれのラインに沿わせて竹のラインに絡ませる。

どこかに『蟲師』の「光脈筋」のイメージがありました。

 

私はワールドの造形ではいつもその場の感覚だけが頼りです。ただ今回は、感覚に随うにしても、何かしらの手掛かりが欲しかった。「ラインに沿わせる」というのはそういうことです。厳密ではないけど手掛かりがあって、でもディテイルは最終的に感覚で決定する。

今回のススキは、仕上げなので、手掛かりに縋らず純粋に感覚で、置くべき場所を決定してゆきました。大事にしたのは、みっちり間を詰めるのとは逆に、最小限を効果的に置く、ということ。囲碁の「布石」的な、「みなまでいうな」的な。

 

ふと気づきました。

「暗渠」を作った時、暗渠を「交通の=人間社会の都合で秩序立つ街並に沿わないライン」とイメージしたのでした。「社会の秩序ではなく自然の秩序に沿う」という。

「香港」でも、二項対立という点では、同じことやってるな、と。自然物は「光脈筋」に沿い、人工物、家並みや道筋はヒトの都合に沿う。

ただ「香港」では、自然を主役にし、人工物はそれに対立せず、それの一部として安らいでいます。安らがせたかった。

 

もともとは、ヒトの移動は自然に沿ってるんですが、都市とか、資本主義経済とかは、自律的に自らを秩序立てて、ときに自然と対立し、自然を壊す。

私(たち)が暗渠に胸ときめくのも、都市の自律に息が詰まってて、自然に沿いたい気持ちがあるから、なんじゃないか。