音楽は差異の体系だ。
ひとつの演奏組み立て全体の中でこの1小節のテンポがどう設定されてるかということも差異だし、この小節だけ取り出して他の演奏と並べてみるのも差異だ。
マゼールはここをいつも遅くする。3'10"、4'07" 。続くセクションとの対比のためだろう。
指揮者の解釈の差異もだけどそれ以上に「ミックスダウン」の差異が大きそうだ。なかで、ティンパニが4分音符じゃなくトレモロに聴こえるものがいくつかある。レゾナンスとひずみのせいでそう聴こえる、と思われるものもあるが、1'08" のドラティ/ミネアポリス響は、実際そう叩いてるように聴こえる。版が違うのだろうか?ドラティでも 4'17" のデトロイト響では普通に4分音符。
(じつは私自身が最初に聴いた「春祭」はこのドラティ/デトロイト響。)
ストラヴィンスキーは、世に行われる自作のテンポが間違ってるとして、自ら指揮して録音を残した、と聞いたことがあるが、その自作自演が毎回テンポが違う。0'06"、0'21"、1'17"。とくに 0'21" のニューヨークフィルとのやつが異様に速いが、音高も高いので、再生装置の回転数のせいもあるかな?
ここをアチェレランドにする意義は無さそうだが、0'47" のアンセルメは、意図的なのか、コントロール出来ずにこうなってしまったのか。
8'36" のペトレンコのクレシェンドは、意図的なものか?
9'07" のものは、有名なのかも知れないけど、私は知らなかった。この超大編成の曲を指揮者無しでやれるものなのか、とびっくりした。
エルネスト・ブールが入れてるんだ(2'23")。ラヴェル『子供と魔法』全曲盤(1947年、おそらく世界初)で、私にとって大事な指揮者。
この動画は、反復と差異の一個の作品として、楽しめる。
出音的にインダストリアルだし。
鬼に金棒 ラトルに LSO(踏んでる)