まえに、ピグパズルの BGM を、PC 本体のスピーカで最小の音量で聴く、と書いた。低音が欠落し、和声が判らず、主メロだけのその状態で聴くと、調性とアレンジが想像で補われて、別曲に聴こえ出す。
オリジナルはこうなんだけど、
例えばこう聴こえる。
オリジナルの「Cイオニア旋法」が「dドリア旋法」に聴こえ、楽節の開始が2小節ずれ、アレンジは、チャイナ風というか「シャッフルの無い『あんたがたどこさ』」みたいに補われる。
のだけど、今回問題にするのは、↑の譜例の赤で示した2音。これはオリジナルのメロに存在しない。アレンジが変わって聴こえるというだけでなく、メロについても空耳が生じている。
いま「空耳」と言ったけれども、これは「鳴ってない音が想像の都合で補われた」ものだろうか?
逆な気がする。この音は倍音として現に鳴っているのだが、ふだんは情報をフィルターに掛けて、作曲上「この音はメロに属する音です」と指定された音だけを選択的に辿って聴いている、耳をニュートラルにすると、ふとしたはずみにフィルターが外れ、聴き方の約束事から自由になって、音が「鳴ってるままに」聴こえて来る、のではないか。
ふだん如何にありのまま聴かず、概念で聴いているか。