The Who 'Cut My Hair' の折返しの歌詞
Zoot suit, white jacket with side vents
Five inches long.
は、どうやら 'Zoot Suit' の歌詞が元になってるようです。
I wear zoot suit jacket with side vents five inches long.
'Zoot Suit' とは。
The Who が、The Who 名義のデビューシングル 'I Can't Explain' 以前、バンド名を一時的に The High Numbers に変えていた時に出したシングル曲です。
《(ピーター・)ミーデンはバンドを当時流行していたモッズ族として売り出すことを画策し、メンバーにモッズ系の服を着ることを命じ、さらにバンド名をハイ・ナンバーズと改めさせた(略)1964年7月3日、ミーデンが書いた「ズート・スーツ/アイム・ザ・フェイス」(略)で、ハイ・ナンバーズはレコード・デビューする。しかしレコードは1000枚しかプレスされず、ミーデンの懸命な宣伝活動の甲斐もなく、デビューシングルは不発に終わる》(Wikipedia「ザ・フー」)
自作曲でもなく、ミーデン(日本語版 Wiki ではパブリシスト、英語版 Wiki ではマネージャーとなってます)に宛がわれてやった結果ヒットもしなかった曲の歌詞を敢えて使い回す、というのは、シャレ(自虐ネタとも言えそうな)以上の意図が何かあるのでしょうか?
だって 'Cut My Hair' の「サビ」ですよ?繰返し歌われる。そこにこれを使う動機とは?
というかこの 'Zoot Suit' という曲は、"Quadrophenia" リリース時点で、The Who の聴き手の間でどのくらい知られてたものなのか。シャレが注釈なしで通じる程度には有名曲だったのでしょうか?
最も感動的な使い回しは、これの 4'57" 目と 5'32" 目です。
'Supper's Ready' からの2行の使い回し。
「There's an angel standing in the sun,」
「freed to get back home.」
この使い回しの意図は何でしょう?
私は当初、ゲイブリエル期の幻影を引きずる真似を何故するのか?と訝りました。
のちに思い直して、ゲイブリエルが抜けようが抜けまいが一貫して我々がジェネシス、という表明と解釈しました。
その場のノリ、たんなるシャレという公算が最も大きいですが。
過去記事。
デイヴ・ステュアート使い回す
National Health 'The Bryden 2-Step (For Amphibians), Pt. 1'
ステュアート曲
アルバム "Of Queues And Cures" (1978)
3'09" 目 ~ 4'09" 目のリフ。
Bruford 'Land's End'
ステュアート曲
アルバム "Gradually Going Tornado" (1980)
7'57" 目 ~ 8'52" 目のリフ。
白井良明使い回す
ムーンライダーズ「犬にインタビュー」
アルバム『ANIMAL INDEX』(1985)
0'44" 目のコーラス。
ショコラータ「いつか見た青空」
詞:太田螢一(訳詞:Pinuccia)、曲:渋谷英広・かの香織、編曲:白井良明・ショコラータ
アルバム『Cioccolata』(1985、プロデュース:白井良明)
0'03" 目のコーラス。
ブライアン・イーノ使い回す
Eno 'The Big Ship'
Eno 作曲
アルバム "Another Green World" (1975)
Eno / Cale 'Spinning Away'
アルバム "Wrong Way Up" (1990)
コード進行が↑の使い回しです。
フレッド・フリス使い回す
Henry Cow 'Teenbeat'
フリス曲
アルバム "Legend" (1973)
の 2'46" 目で現れ、3'17" 目以降執拗にリフレインし、同アルバムの
'Extract from 'With the Yellow Half-Moon and Blue Star''
フリス曲
の 2'21" 目に現れるメロは、
Henry Cow 'Ruins'
フリス曲
アルバム "Unrest" (1974)
の 1'21" 目 ~ 2'07" 目 に使い回されます。