Genesis "Nursery Cryme" の「B面1曲目」'Seven Stones' は大好きな曲だけど、ライヴは1972年ジェノヴァでのものしか確認できない。
メロディと和声は「聖歌みたいに簡潔な歩調」と「柔軟さ、幅広さ」との融合。メロディが和声を喚び起こしてるとも、その逆ともつかない。コード進行にメロディを乗っけてるのでも、メロディにコード付けしてるのでもない、要するに瞬間瞬間へのチェック能力を以て書き進める感。
ポップソングの形式に則ってヴァースとコーラスが交替しているようでいて、登場の都度アレンジが変わる、単純な繰り返しを忌避する、構成の創意。
小6当時の私がプログレに求めることのひとつに「クラシックの聴き方で聴けるロック」があったんだけど、この点が行き届きまくってる、ともいえる。
'Seven Stones' は 'Harold The Barrel' 'The Fountain Of Salmacis' ほどはライヴ映えしないと判断されたのかな、といいつつ 'Harold The Barrel' もよく知られた1971年 BBC のスタジオライヴ以外ではこれしか確認できない:
「畳み掛ける曲」だなあとは思ってたけど、いま改めて「のべつ歌ってる」ことに気付いてびっくりしてる。曲冒頭からヴォーカルで、間奏が無くて、曲終わりまでみっちりヴォーカル。
ジェネシスフォロワーは全無視で構わないけど、殊に 'Harold The Barrel' こそ「受け継げないジェネシス」だと思う。ユーモアとシニシズム。
その点、この曲はいい線行ってると思う:
これもいきなり歌い出して、最後まで歌う。しかも英語(作曲者曰くハナモゲラだそうだが)を、ものっそい早口で詰め込む箇所もある。
この曲はこの作曲家の本来の作風ではないけど、何故か私は大好きで、また貼ってしまった。作曲者さん、良くない紹介者で済みません。本来インストの人といっていいと思うけど、ヴォーカル曲となるとみっちり歌ってて、びっくりする。