プログレを終わらせたのは、外部要因としてはパンクの台頭、と言えるかもしれない。
でも、パンク以後の、当時オルタナティヴ・ロックと総称された諸々は、その創意においてプログレを受け継いだというべきだ。
じじつ人脈としても、イーノはトーキング・ヘッズ、ディーヴォ、"NO NEW YORK" をプロデュースしたし、クリス・カトラーはディヴィド・トーマスと共同作業したし、ロバート・ワイアットはラフ・トレードから復活した。
聴き手的にも、創意への餓えを抱えてオルタナに移行していった。既存のプログレというスタイルへの餓えを抱えて UK を歓迎した、のではない。
私も同意する。
そもそもプログレッシヴ・ロックという言葉の発祥が『原子心母』日本盤の帯のコピー
「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」
にあるに拘らず。
プログレのスタイルとはこういうもの、と予め規定して、それに合致するものを以て、例えば「5大プログレバンド」を認定したいなら、ピンク・フロイドの代りにジェントル・ジャイアントを入れねばならない。
でもぎゃくに、プログレらしからぬピンク・フロイドが「5大プログレバンド」に入ってることが重要なのだ。プログレという言葉が生きて機能するダイナミズムのために。
私は「エコーズ」が大好きだったが、『おせっかい』の、アナログ盤でいうA面の小品群には困惑した。就中「シーマス」。
私の耳が不自由だったのか。それともブルーズの全くのコンヴェンションに依拠するこの曲が不自由だったのか。
枠を設けずにやってるところへ「ピンク・フロイドはプログレ」の決めつけを押し付けて不満を訴えるのが筋違い、なのは確か。
『アニマルズ』所収「ドッグ Dogs」のAメロのコード進行に、私はマイルズのモード・ジャズ由来を感じた。
ジャズ・ロックへのモード・ジャズの影響はもろだが、一見無関係そうなピンク・フロイドにも影響してるのか?
私は、『あなたがここにいてほしい』はひたすら空疎だが『アニマルズ』には聴くべき音楽的内容がある、と思ってる。逆張りではなく。
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