「プログレ」に代わる呼称(ケンジロニウス氏の御記事をきっかけに)

私はプログレを「プログレッシヴだから」聴くわけではない。「プログレッシヴ」の語義に引き摺られて、この曲は「進歩的」である/でないゆえにプログレである/でない、と判定するのは本末転倒だ。

ぎゃくに現行の呼称「プログレ」に違和感がある。これに代わる名前を、と思い巡らしもするけど、「困難」に「不毛」が加わって、いつも頓挫する。

私の基準を明確に出来れば呼称も自ずと決まる筈ではあるけど、それでもそれは「私の」それに過ぎないし。

 

 

こちらの御記事でマーゴ・ガーヤンという作曲家/ピアニスト/歌手を教えて頂いた。

私は「ソフトロック」がものすごくピンと来るというのでもなくて、それは、まだ殆ど聴き進められてないから当然ではあるのだけど、御記事中に紹介されたガーヤンの 'Love'、'16 words' を聴いて、これはすごい!ってなった。

 

同時に、御記事の導入「ドトールというソフトロックの宝庫」の中で、ソフトロックの定義に

ドトールで流れて来ること》

が付け足されるのを拝読して、膝を打った。

以前、「《ユーロ・ロック・プレスに載ってること》がプログレの定義」と、困難と不毛から来る「疲労」の果てに、半ば諦め、半ば正鵠を射た金言として、思い至ったのだった。

 

あと、「ソフトロック中ピンポイントでマーゴ・ガーヤンに反応する」とパラレルな事例として、思い出した。

私はメタルに詳しくないし切実でもないけど、2枚だけメタルの CD を持ってる。それが2枚とも Lumsk なのだ。

ソフトロック内部、メタル内部の方からすれば、「Genesis では "Wind & Wuthering" がいちばん好き」と聞かされて覚える私の苛立ちと同じ苛立ちをお苛立ちになるのかも知れない。あれを「Genesis 的」と思うかどうかであっちとこっちの線引きが出来る。

 

 

とにかく、私がやりたいのは「現行のカテゴライズをそのままに、『プログレ』に代わる、より内実に相応しい呼称を」ではないのだ。

呼称はともかく、「私の」そのジャンルが何であるか示すためには、現行プログレに分類されてるもののうち、何が排除されるか、を示すのが確実な方法だ。

Moon Safari は含まれない。Barock Project は含まれない。Asia はもとより、UK も。

そして、マーゴ・ガーヤンは含まれる、ということになる。

 

 

余談。

Asia、UK というと「スーパーバンド」だ。

私が「スーパーバンド」と聞いて真っ先に思い浮かべるのが、いつしか Adi になった。

ベース:渡辺等。ヴァイオリン:金子飛鳥。キーボード:塩谷哲。ヴォーカル:本間哲子。ドラム:サポート扱いだけど仙波清彦

「スーパーバンド」にありそうな「ネイムヴァリュー寄せ集め」ではない。各プレイヤーの力量が、ひけらかしではないクリエイティヴィティの要請に随って、フルに発揮され、トータルとして真にスリリングな音楽を達成してる。

「ワン・オヴ・メトロ系」でもない。ユニークな異能集団。

 

「スーパーグループ」だと分類学や流通の記事に紛れるので、「スーパーバンド」で。