プログレをお聴き始めの方にお薦めする曲として真っ先に思い浮かぶのがこの曲です:
モティーフを、転調させたり、アレンジを変えたりパート間で受け渡したりして展開させてゆくのが楽しい。その手際が明晰。
謂わば、クラシックと同じ聴き方で楽しめる。プログレの在り方の一面を、端的に示す例。
カンタービレの美メロから性急な畳みかけまで、クラシカルからブギっぽいシャッフルまで、幅広くて聴き応えがあるのに、6分台という、プログレとしては手頃な長さに纏まってる。
ヴァイオリン、フルート(ピッコロ)、各種キーボードを含んで楽器の音色の楽しみも多いし、奏者全員名手。最後のユニゾンのアチェレランドが超絶技巧で圧巻。
ライヴだともっと極端にアチェレランドしてもっと熱量あるんだけど、"Cook" のつべが見つからない("Cook" でのこの曲のタイトルは 'Four Holes In The Ground')*1。
ゲイブリエル期をお薦めするのが筋ではあるけど、カリスマを失ったぶん、作曲としては、リキ入ってるし、じじつ優れてる。
Gentle Giant だけ2曲すみません。
'Raconteur Troubadour' はものすごく自由な変奏曲という風。
いわゆるレコメンないし R.I.O. からは、作曲のアグレッシヴを全く落とさずになおかつ審美的な「尖ってるけど聴きやすい」奇蹟の例として、これ:
この曲には、酒井康志氏の、初音ミクによるカヴァーがあります:
以前記事を書かせて頂きました:
私個人の価値観で選びました。私個人のプログレ履歴をなぞることでもありました。
以上に共通するのは「造形至上」です。感情は要らない、雰囲気は要らない。
最後にもう1曲、これも造形として強いやつを。上に挙げた曲たちの造形からすると異形ですが。
とくに 5'22"~ の後半部分。
これのおかげでクラウトロックが私にとって親密なものになりました。
*1:追記 2022年05月23日
アップされました。