(2015年10月09日、記)
UK の1st.アルバムがプログレを終わらせた。
私にとってプログレは歴史。
例えばピンク・フロイドにしたって、『狂気』や『おせっかい』を個別に聴いた以外は、数年単位の活動を、ボックスセットで、数時間のうちにまとめて「学ぶ」ものなのだ。
当時をリアルタイムで生きた方の時間感覚は全く違うはず。
『狂気』から2年だか待たされて聴く『あなたがここにいてほしい』。
期待に胸膨らませて、どんなにか集中力を以て、濃密な時間を体験したか(あるいはどんなにかがっかりしたか)。
キング・クリムゾン『宮殿』の1969年から、1970年代後半に食い込む辺りまでは、私の感覚ではひとまとめの時代だったんだが、リアルタイムの感覚だと、ワクワクの時期、倦怠期、あるようで、そのうちプログレにとっての最大の危機が、パンクの台頭だ。
1976年にセックス・ピストルズがデビューしてる。
パンク一辺倒の時代に、プログレ救世主として登場したのが、UK。
1st.アルバムは1978年。
ところがこれがつまらない。
そもそも「これつまんないから聴いてみ」と渡された、という出会いだったのだが、その方からの刷り込みによると、おおよそ次のような。
「プログレ救世主として騒がれ歓迎される世間の論調に関わらず、私はシラケていた。
確かにそれまでのプログレの語法の見事なまでの集大成だった。
だがこの『集大成』ということほど『プログレ』と矛盾するものはない。それは『コンサヴァ』だ」
プログレ問題の論点は大まかに2つある。
ひとつ目は今言った「プログレという名のコンサヴァ」問題。
「プログレ」という既存のスタイルの継承は「コンサヴァ」である、という。
ふたつ目は、そもそもプログレッシヴ=進歩的であることを、どう評価するか、という問題。
周知のとおり、「プログレッシヴ・ロック」という言葉はピンク・フロイド『原子心母』日本盤の帯に書かれたのが発祥で、つまり1970年に生まれた言葉。
日本ではこの年、万国博覧会が開かれて、そのスローガンが「人類の進歩と調和」。
「プログレッシヴ・ロック」という言葉は正しくこの時代の価値観に乗っている。
2011年3月11日以降を生きるのに、最初に克服せねばならないのがこの「プログレッシヴ」という言葉かも知れないのだ。
(記憶の記録・おまけ NG判定したアルバム②)