(2016年2月16日、記)
今さらの曲の、昔から流通してたライヴ映像ですが、ここに掲げる、高画質・高音質の動画の存在は、のぶはるさんの2013年08月02日のブログ記事を拝見して知りました:
ジェネシス/ウォッチャー・オブ・ザ・スカイズ|のぶはるのブログ
それまでは、家庭用ヴィデオデッキでコピーしたみたいな画質・音質のブートレグDVDで観ておりました。
今さらの曲の今さらのライヴですが、サビ歌い終わりでゲイブリエルがマイクを「くいっ」と上に向けるシーン目当てで、繰り返し観てしまう動画です。
3分47秒目と5分26秒目の2か所、見る度に「かっけえええ」と声を上げてしまいます。
何故かっけえのか。
これが仕草のための仕草ではないからだと思います。
もともとは、マイクにヴォーカル以外の音が回り込まないために上を向ける、という機能上の意味がある。
これを儀礼化して、曲のブレイクのタイミングに合わせて行う、そのアクションの「瞬発力」が、実にロックです。
もちろん実際のミックスのコントロールは、卓のフェイダー操作で行うわけで、この「マイクくいっ」は、実質的に有意ではありませんが、もともとそういう意味付けを背負っての仕草、ということです。
音をミュートすべき個所ではミュートする。
簡単にいうと「ここから間奏」の合図です。
そしてゲイブリエルは、間奏のあいだ、アレンジの妙味の聴きどころをインストパートに任せて、舞台やや奥に下がる。
ジェネシスの音楽は、いつも作曲上アレンジ上の必然に基づいてて、パートが休むべき個所では休む。
ヴォーカルパートもその一環。
大掛かりに展開しつつ、アレンジ上必然の個所にヴォーカルが乗ってくるのであれば、ヴォーカルが休んでいる間を「間奏」と呼ぶのも正確ではない。
「マイクくいっ」も「やや奥に下がる」も、そうしたジェネシスの音楽の「大掛かり」と「メリハリ」に即したものなので、かっけえわけです。