私は TPO で音楽を聴くということをしません。
レゲエが夏のイメージなのはこれがジャマイカで生まれた音楽だという知識があるからだし、カンテレの響きがひんやりしてると感じるのはこれがスオミの楽器だという知識があるからです。音楽そのものの性質ではありません。
「夏」というタイトルを「冬」というタイトルに付け替えたら、そのまま冬の曲として通用する、というケースもあるかも知れません。
それでも例えば「秋に相応しい」と思わせる曲はあります。
後付けで、例えば「秋の行事に付随して演奏される恒例になってるから紐付けられてる」という以外に、曲の音楽的内容自体に、そう思わせる要素がもしあるのだとしたら、「秋っぽさ」を保証するものは、いったい何なのか。
秋の特質はまず何より「透明」だから、ソノリティが透明な音楽が秋と呼応するということはあるかも知れない。
高湿度でシーイングが効かなくて何かと騒がしい夏から、爽やかで透きとおって静かな秋への切り替わり。
この「切り替わり」が印象を齎すのであって。冬も透明だけど、これは秋に引き続いての透明だから。
ギリシャのバンド Ciccada のアルバム "A Child In The Mirror"。2010年。イタリアの Yugen と DFA のメンバーがサポートで参加。イタリアのレーベル Altrock / Fading から。
こういう気品ってテンペラメントだから、余人に真似できない。
管、弦が複雑に入り組んで、いくぶん怪奇な趣きもある「チェンバー」的要素にとくに惹かれますが、あるいはこれはサポート組の持ち込んだ要素で、バンド本来の方向はフォーク的、「シンフォ」的なのかもです。
この曲そいえばまだ当ブログで取り上げてなかったなと思って。これ貼りたいだけの動機で記事書いてます。
もう1曲。説明不要のやつを。