私はフィル・ミラー追悼文を書けるほど彼のことを解ってない。
彼の演奏の録音を、非常にしばしば耳にしてる割に、意識して聴いて来なかった。
今回いくつか彼の演奏を聴き直して、トーンが好きだし、実にセンシティヴなフレーズを弾く、と再確認した。
非常にしばしば耳にしてるのは、Matching Mole → Hatfield And The North → National Health のギタリストだったから。
ハットフィールズ、ナショナル・ヘルスは私にとっては「デイヴ・ステュアートのバンド」なのだ。
ギターよりキーボードに興味があるというより、演奏より作曲に興味がある。そしてステュアートの構築的作曲に興味がある。
私個人の好みもそうだし、ステュアートと組むということは、そういうことなんじゃないか。2つのバンドはどちらもキーボードだけで既に曲の構造を作ってしまってて、ギターは「添え物」…というと言い過ぎだが。
ミラーのソロアルバム "Cutting Both Ways" (1987) で好きだったのもステュアート参加曲だった。というかステュアートが参加してるから買ったのだった。とても制覇しきれないカンタベリーの夥しい録音物の中から枚数を限るのに「ステュアート参加」が基準のひとつだった。
ミラー自身のバンド、In Cahoots を私は2枚しか聴いてないが、上述の私の関心に引っ掛かってくる音ではなかった。
フィル・ミラーと聞いて真っ先に思い出すのが、この動画の6'30"目、
主題の再現を弾けてない彼
なのが辛い(3'49"目で出を1拍間違えるジョン・グリーヴズとともに)。