Alfred Deller

そもそもカウンターテナーというパートがルネサンス音楽バロック音楽に存在したことを世に知らしめたのがアルフレッド・デラーなのだ。

19世紀以降、カウンターテナーの伝統は教会の、男子のみによる合唱団の中だけのものだった。デラーもカンタベリー大聖堂セント・ポール大聖堂の合唱団のメンバーだったのだが、その彼がソリストとして活動を始めるについては、マイケル・ティペットが彼を称賛したことがきっかけだったようだ。

デラーの功績は、カウンターテナーというパートを知らしめたことと、時代考証に基づくことを旨とする「デラー・コンソート」の演奏活動によってルネサンス音楽バロック音楽についての一般の認識を大幅に広げたことだ。民謡をも古楽の文脈で扱う。

 

今でこそ、カウンターテナーは珍しいものではなくて、優れた演奏家がたくさんいるし、活動の分野も古楽に留まらない。

歌唱スタイルそのものについては、わたし的に、デラーこそ最上、とはならないけど、これほどニュアンスに富む歌いぶりは、余人に求め得ない。