端的に言って、赤で示した cis、d が、私がマスネを大嫌いな理由、マスネに審美眼・造形センスが備わっていないと断ずる理由だ。
厳しい造形意識を持つ者は絶対にやらない、まったくの蛇足。
いったん D の和音に沿って下降したメロディが、上昇に転ずるとき勢いがついて、8分から8分3連に加速するとともに a を行き過ぎて h の音高を取るところは、せっかくそれなりに気の利いた造形なのに、その h のイレギュラーを、さっそく、わざわざ、主音 d に向って修正する。しかもリズム的に馬鹿な、4分音符2つで。
この cis、d には、あるいはしかし、私の理解の及ばない、何か積極的な意義があるのだろうか?
どなたかご教示下さい。