Zypressen

上がってるじゃないか!

Zypressen "Zypressen"(Belle Antique BELLE 96195、1996年)。

2013年に上がってる。2019年に記事にした時つべをどう捜しても見つからなかったのに。

UP 主の Prog Line さんって何者なんだろう?と以前から謎。ものすごくレアかつ重要なプログレ作を、フル・アルバムで、膨大な数、上げて、感謝されまくってる。

 

10数年ぶりに聴き直して、以前よりも好きになってる。以前は、リフがある点が Lacrymosa と違ってスタティクな印象だったけど、いま聴くとそこが魅力。

 

Chihiro S. 氏のプロデュースで、自然で穏健な美しさを湛えたトラック・ダウン。

三田のスタジオ「アワーハウス」で録ってるわけだけど、あそこピアノはアップライトしか無いはず*1で、あれでこんなきれいな音色に録れるの?と不思議。

 

Zypressen のリリースは私の知る範囲で他に、オムニバス・アルバム『誓い空しく』(京浜兄弟社 KBS #501、1991年)に1曲、「すべての縦縞は交差したがる」が入ってる。これは今回の "Zypressen" のラスト曲「交差衝動」の旧録音。

 

今回はとにかくつべ発見が事件だったので、そのご報告まで。

 

追記①(2022年05月11日)始め

Zypressen が Chihiro S. 氏をゲストに迎えての、1996年03月20日吉祥寺シルバーエレファントでのレコ発ライヴ。

1. 'Etude'

2. 「始まりのボレロ」~「交差衝動」

「始まりのボレロ」(4分目まで)は、Chihiro S. 氏の御ツイートによると、

「CDに入ってない冒頭曲、本当は単なるフリーのはずだったんだが、「バンドのサウンドを背景にベース・ラインをちょいとひねれば、ちゃんとした曲になっちゃうんじゃね?」とまとめてしまった(笑)」

とのこと。

昨日ふと Zypressen を思い出しフル・アルバムのつべを発見したのとほぼ同時刻に、「zypressen.jp」のチャンネルがこの2つの動画をアップした。なんの奇遇??

 

05月15日(もうすぐ)には、

「2022年の逆襲  Chihiro S.  芸能生活40+2周年記念ライヴ」

があります。

追記①終わり

 

追記②(2022年05月18日)始め

こういう記事を見つけました。これがあれば私の記事は無用です。

雑誌「Marquee」Vol.64(1996-1)掲載記事

Pick up Artist

ツィプレッセン

文●Chihiro S.

追記②終わり

 

関連記事:

*1:いちばん最近のことは存じないのですが。

Syd Barrett 'Love You'、Kevin Ayers 'Religious Experience'

そうか、05月09日は I scream の日か。

 

アルバム "The Madcap Laughs" の形に完成することになる Syd Barrett のソロ録音は、1968年04月の Pink Floyd 脱退直後から、マネージャー Peter Jenner のもと試みられるが、セッションが軌道に乗るのは、1969年04月、Harvest Records(EMI のプログレ・レーベルとして設立されたばかり)の責任者 Malcolm Jones が仕切るようになってから。

 

'Love You' は、この引継ぎ後の段階で新曲として持ち込まれる。

04月11日、Barrett のギターとヴォーカルでいくつか(4つ?)のテイクが録音される。このうちのテイク2が、05月03日に Robert Wyatt、Hugh Hopper、Mike Ratledge によってオーヴァーダブされて、正式リリースに採用される。

テイク1とテイク3は CD 再発時にボートラとして収録。

[Take 5] となってますがテイク1です。

テイク3。

あと、こういうのが上がってて、take 2 ってなってるけど、あきらかに別テイク。

 

Malcolm Jones も結局 Barrett との信頼関係を持続させることができず、1969年05月末には、David Gilmour と Roger Waters にプロデュースが引き継がれる。08月06日にミックスを終える。

 

セッションに Soft Machine のメンバーが加わったのと同時期に、 Barrett は Kevin Ayers の 1st. ソロ・アルバム "Joy Of A Toy"(1969年11月リリース)のセッションに、'Religious Experience' という曲1曲で参加してる。

この曲は、'Sing A Song In The Morning' に改題されて 1st. シングルとしてリリースされる(1970年02月)が、 Barrett のトラックはオミットされる。

Barrett の加わったヴァージョンは、2003年 "Joy Of A Toy" CD 再発でボートラとして陽の目を見る。ところがこの際、もうひとつの、Barrett の参加してない未発表ヴァージョンと取り違えられて、トラック・リスティングが逆になってる。

参加してない方の、4分台の 'Religious Experience' には、アコギと、12弦エレクトリック・ギターのパートがある。

Barrett 参加の、2分台の方には、さらに6弦エレクトリックのパートがあって、これが Barrett。

右チャンネルのやつですね。

サン=サーンス「水族館」

私がサン=サーンスで唯一好きな曲、「水族館」(『動物の謝肉祭』第7曲)。

編成にグラス・ハーモニカを含むけど、グロッケンで代用されることが多い。

グラス・ハーモニカを使った例。

たんに珍しいというだけでなく、いい演奏だと思う。初めて知る演奏家たち。

 

もともと室内楽編成で書かれたし、私個人的にフルオケよりも室内楽のが好きだけど、ラトル/ベルリン・フィルとカティア&マリエル・ラベックによる神妙な弱奏に異存のあろうはずがない。

グラス・ハーモニカ・パートはグロッケンで。

 

この動画は、説明欄のクレディットに「celesta」とあるけど、どう見、どう聴いてもシンセですよね?

こういう特殊な編成の曲の場合、シンセを含めるゆき方も積極的にアリだと思った。

ナレーションのテキストの出典は私には判らない。コメント欄をつぶさにチェックすれば判るかも。

ヴァイオリンのジュリアン・ラクリンはじめ、著名な方たちのようだけど、私は初めて知る演奏家たちです。

 

パリ万博でのジャワのガムランに、ドビュッシーはびっくりできるだけの耳をもってた。サン=サーンスは「ただの雑音」と嘲った。

私がサン=サーンスを嫌いなのは、自分の曲はただ決まりどおりに音を並べただけのもののくせに、私の大事なドビュッシーやフランクやジャワのガムランをバカにするから。

もっとも彼は生来バカにする人なのであって、彼がバカにしなかったのはフォーレだけかも知れないけど。

 

ただ、ある時 FM で、ラロの『スペイン交響曲』に続いてサン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』が掛かった時は、後者がものすごく気の利いた曲に聴こえた。