(2015年11月08日、記)
以前アップした「パラボラは空に属す」(→ユーモア即感動 - 轟音に耳を澄ます )が、S氏の曲としてはポップで、偏った紹介に気が差すので、ちがう曲調のを。
ポップだったというのは、既存の手法を援用するのを厭わなかった、ということ。
構成も、めまぐるしく断片を過剰に詰め込んでたとはいえ、基本はポップソングの形だったし、和声も、バンドアレンジも、既視感アリアリで、「アヴァンギャルドに走らない」がテーマですらあった(私の勝手な印象。踏み出したいのをすんげえこらえてると思った)。
今回の「厚地」はその点もっと、自分自身の耳に一瞬一瞬への責任を負わせてる、という印象。
といいつつ、0分24秒目~0分41秒目は、モード的にはほぼコンディミに沿ってるんだよね。
コンディミ使いやすいからねえ。
コンディミはメシアンの「移調の限られた旋法第2」と同じものと言っていいので、例えばドビュッシーと結びついたホールトーンより耳新しい。
でももちろん、コンディミを採用してるから、ホールトーンやダイアトニックより偉い、のではなくて、既存のスキルに沿わせる限り、コンヴェンションであることに変わりはない。
いっぱんに、「これをやってればプログレとしての条件クリア」みたいな意識レヴェル低い作曲が気に喰わない。
いちばん典型的なのが「変拍子使ってます」。
ここでの氏のコンディミは、好き勝手やってたつもりなんですが結果コンディミになっちゃいました、のノリだ、と思いたい。
いつものことだけど、氏の打込みは、ドラムばっかり忙しい。
音程気にしないで済むから、自由に動かせる、いくらでも手数増やせるからね…