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Genesis 'Dancing With The Moonlit Knight'

(2015年11月01日、記)

 

 

www.youtube.com

"Foxtrot" あるいは 'Watcher Of The Skies' について書く段取りを進めていたところ、ある方の、アリスブルーという色についてのブログ記事「灰色に近いほどいい」を拝読して、急遽これに変わった。

 

 

'Dancing With The Moonlit Knight'。"Selling England By The Pound" 所収。

小6の私が「プログレ」(というターム、ジャンルをことさら意識するのはずっと後のことだけど)に求めるある面を、期待を遥かに超えて、示してみせてくれてしまった曲。

 

楽想の清冽さ、これでもかの展開、抒情に溺れっぱなしにしないシニシズム

全ての瞬間に責任を持つ自己批評意識。

スタイルそのものに対して意識的であることがプログレであるとするなら、ここにそのもっとも過剰な入念さの例がある。

 

 

なのでこの曲について書きたいことはいくつもあるのだが、前掲「灰色に近いほどいい」で思い出したこと。

 

私はコーヒーの砂糖の量は少ないほどいいが、ブラックは無理、という不思議。

 

'Dancing With The Moonlit Knight' を初めて聴いた時、1分50秒目~2分10秒目の「積極的に控えめ」な「メロトロン量」に、背筋がゾワっとした。

私はメロトロンの音色が好きだが、これをウリにして前面に出して来られると、耳を塞ぐ。

この曲の、あくまでオーケストレイションの必然からの、必要量の、というか最少量のメロトロン。

この使い方でこそ、この楽器の音色の威力が、最大に発揮される。

 

同じアルバムの 'Firth Of Fifth' の垂れ流しメロトロンはどうなのよ?問題について。

長い間奏の終わり近くで、センチメンタルなギターソロのバックでメロトロンが白玉埋めつくしをやって、情感をマックスに盛り上げる箇所。

あれについては、DVD "Songbook" 中のインタヴューで、(いま手許に無くて、詳細は忘れたし、どのメンバーの発言かすら忘れたけど、)「録音セッション中、冗談で『キング・クリムゾン風に』とやったアレンジだが、捨てられなくなって結局採用した」というようなことを言ってた(※註)。

音量の問題であるより、造形として彫琢を経てるか、それともマッスの押し寄せか、の問題。

 

 

'Dancing With The Moonlit Knight' の動画はもちろんライヴもたくさんあるし、2008年リマスターもアップされてる。

が、この曲との個人的な出会いのショックに即して書いた今回は、リマスター前のスタジオ録音をリンクしました。

5分10秒目のシンコペーション直前のペダルハイハットは、アナログ当時はフェーダー操作が間に合わなくてミュートしきれなかったのかと思いきや、リマスターでも同様に聴ける。というかものすごくリアルな音質で、聴ける。

 

もともとこのアルバムはミックスがすごくきれいだと思う。

"Foxtrot" について書こうとしてたのもじつは、あのアルバム(リマスター前)の分離の悪いミックスについてだった。

フィル・コリンズのドラムの細かいフレーズやスネアの音色を捉えきれてないことが、あのアルバムのアレンジがのっぺりして聴こえてしまう原因、というようなこと。

"Selling England By The Pound" では、フィルのドラムのフレーズの繊細さ(が私が彼のドラムを好きな理由だ)が、如実に捉えられている。

 

 

※註(2016年09月24日)

これですね。

でもトニー・バンクスの英語は私にはまったく聴き取れません。

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