Nektar "Recycled"

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Nektar "Recycled" という典型。

路線が明確で、それを徹底的に推し進めてて、全てが明晰で、ポップでハードで、シンセの音色がきらびやかで使い方がくっきりしてて、一切の迷いや恥じらいやハニカミやハンカチがなくて、音の押し出しがパワフルでインパクトがあって、ひとことで言って「厚顔無恥」。もうひとこと言って「身も蓋もない」。

私の趣味の凡そ対極にあるし、こういうものは1回聴けば十分だし、聴けば人格を徹底的に疎外されてぐったり疲れるし、これを座右において末永く愛聴するというヒトがいるとは思えないし、私の好みでいえば 1st. "Journey To The Centre Of The Eye" の割り切れなさ何物とも付かなさのほうだけど、こういうものがプログレのいっぽうに形にされてるということが、シーン全体の豊かさと活性のために重要だ。

じっさいここまで、作者個人の趣味を度外視して「プロダクツ」たることをあらん限り突き詰めてる、その意味で「モニュメンタルな傑作」というのはプログレ界見渡してもちょっと類例を思い当たらない。

Genesis "Abacab" を改めて聴くと、「ポップへの路線変更、妥協、折衷」どころではなく、スタイルの「徹底」が獲得してる表現の「強度」に驚くけど、それに近いかな?

It Bites "Once Around The World" は、ぐったり疲れた記憶があるから、その類だったのかな?

いやもっと、事態の大きさからいうと、ティラノザウルス・レックスが T. Rex になった時とか、ラフ・トレードからデビューしたバンドであるスクリッティ・ポリッティが Cupid & Psyche になっちゃった時とか、ディープ・パープルが『イン・ロック』でハード・ロック~へヴィ・メタルを打ち出した時とか、に匹敵する事件だと思うんだけど、1976年当時、どう受け止められたのか知らない。

 

実はこの記事、もっと別な表現を使って書いたんだけど封印してた。"Recycled" は「筆おろしロック」である、と。このアルバムの性格を最も的確に言い当てるコピーとして。プログレには「童貞の吹っ切れなさ」が付き纏うんだけど、このアルバムは「吹っ切った」「化けた」境地だ。

問題は、私個人の趣味として「1st. のが好き」と表明してしまったことだ。私の男性観が露呈…どなたもそこに興味がおありの筈がないですが。

あと、やはりつべを貼っておく。

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