Gordon Haskell "It Is And It Isn't"

(2016-02-08 記)

 

 

Gordon Haskell の2nd.ソロアルバム "It Is And It Isn't"(1971年)をつべで聴いた。

 

King Crimson のベーシストとしてヴォーカリストとしてだけ知ってて、どちらとしてもよく解らなかった人だが、彼はまず何よりもソングライターとして非凡なのだ、そして私の好みだ、と判った。

 

メロディの運びや、清冽なリリシズムと滋味との並存、曲調の幅広さが、Pete Sinfield "Still" を思わせもする。

意に染まないクリムゾンへの奉仕から自分本来の音楽へと戻ったら、クリムゾンの音を勝手に期待する聴き手に勝手にがっかりされた、という共通点もある。

John Wetton は、プログレ2大名作 "It Is And It Isn't" と "Still" の両方に参加した演奏家として、歴史に名を残すだろう。

 

つべにはフルアルバムも上がってる。

↓は3曲目。

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プロデュース、アレンジの Arif Mardin の名前にびっくりした。

私はこの人を、Richard Harris が Kahlil Gibran の "The Prophet" を朗読したアルバムの、音楽を書いた人、と認識してた。

その彼の名をここで見るとは。

 

Arif Mardin の曲はつべにたくさん上がってて、スタイルが多様で、どれも面白くて、人物像を把握しきれない、とは思ってた。

 

さっきググって、米アトランティックのプロデューサーとして、もっともっとメジャーの仕事を、あらゆるジャンルに亘ってしてる人だと知った。

アリーサ・フランクリンとか。

 

 

ジョン・B・チョッパー氏のウルフルズ加入の経緯のエピソードを聞いたことがある。

ウルフルケイスケ氏とトータス松本氏がバイト先での休憩時間中にバンドを組む計画を練っていた。ベースの人材で困って、たまたまその場にいたジョン・B・チョッパー氏を誘った。ベースは一から教えた。運指をフレットにマジックで書き込んだりして覚えた。等々。

もっともこれは「テレフォン・ショッキング」に出演したトータス松本氏自身が語っていたことで、内容の何割かはネタなのかも知れないし、かなり以前の視聴で私自身うろ覚えです。

 

この話を聞いた時、自然私は Gordon Haskell と Boz Burrell のクリムゾン加入の経緯を連想した。

私の Haskell 像はつまりそういう風だったのだが、今回 "It Is And It Isn't" を聴いて、彼本来の音楽を、元クリムゾンというバイアス無しに素直に、再評価出来て、嬉しい。

クリムゾンでのキャリアは彼本来の音楽性に沿わない、なのに他人からの評価には常に筋違いな先入見が付き纏い、その視点から批判される、不幸。

 

Boz Burrell は優れたヴォーカリストだし、これで、"Red" までの King Crimson のメンバーで、存在意義がわたし的によく解らないのは David Cross だけになった。

勝手に、フリップがソロを取る時にバックでメロトロンを流す要員、なのだと思ってる。