Lindsay Cooper "Music For Other Occasions" "Oh Moscow"

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Lindsay Cooper "Music For Other Occasions"(LP、独 No Man's Land  NML8603、英 Sync Pulse Records  SP3、1986年)。

つべには、曲単体で幾つか上がってます。以下、動画の数は多いですが、曲の長さはどれもごく短いです。

A1

A3

A4

A6

B1

B2

B4

詳細は省きますが、1983~84年の間に、いくつかの仕事、ダンスや舞台のため、チャンネル4テレビのドキュメンタリーやドラマのため、に録音されたものを集めて、1985年にミックス・編集されています。

ただ、曲順が、それぞれの仕事毎に固めたものになってなくて、入り組んでます。1枚のアルバム作品として考慮された構成、ということでしょう。

参加ミュージシャンは、Chris Cutler、Georgie Born、Zeena Parkins、Dagmar Krause、Sally Potter、等々。

なお、1991年に CD 再発(独 No Man's Land  nml8603cd)、ボートラが5曲追加されています(いずれも1987年以降の録音)。つべが2つ確認できますが、ここでは省略。

 

私事ですが、ラクリモーザ(日本の)を最初に聴いた時まず連想したのがこのアルバムでした。まず、バンドを評価するのに、◯◯を連想するとか似てるとかいうのはいちばんやっちゃいけないし、次に、Henry Cow じゃなくて何故殊更 Lindsay Cooper なのかが謎です。

ところが、このことをお伝えした方から、意外にも

「的を射てる。まずメロディ重視である点、そしてそれを低音楽器でやる点。Cooper はバスーン奏者だから低音楽器をメロディ楽器と見做すセンスを自然と備えてる筈で、それは Chihiro S. 氏のベースと相通ずる」

と、好意的な返しを頂きました。

たしかに、メロディ重視というか、尖ってばかりではない。静かな詩情を湛えてる。常時愛聴する、というのは Henry Cow よりも Cooper のこのアルバムだったかも知れません。

 

A1 'Speed Of Light' と B1 'As She Breathes' で詩を書き、歌っているのは Sally Potter。

もうひとつ、Cooper の曲で、Potter がテクストを書き、歌った例として、これを。

Lindsay Cooper "Oh Moscow"(1987年作曲)

1991年ヴォルゴグラードでのフェスティヴァル "Unidentified Movement" での演奏。

Lindsay Cooper : bassoon, alto and soprano saxophones

Alfred 23 Harth : tenor saxophone, clarinet

Hugh Hopper : bass-guitar

Phil Minton : trumpet, voice

Sally Potter : texts, voice

Veryan Weston : piano

Chris Cutler : drums

directed by Sergey Karsaev

 

追記(2024年01月07日)始め

上に貼ったフッテージのつべが非公開になりました。

1991年の CD "Oh Moscow" (Les Disques Victo  VICTO cd015)からのつべを貼っておきます。

アルバム1曲目 'England Descending'、貼っていたフッテージと同じ箇所です。

このアルバムは、1989年10月08日、ケベック州ヴィクトリアヴィルでのフェスティヴァルでのライヴを収めています。この時のパーソネルは、

Lindsay Cooper - composer, bassoon, alto saxophone

Sally Potter - lyricist, vocals

Elvira Plenar - piano, synthesizer

Alfred Harth - tenor saxophone, clarinet

Phil Minton - trumpet, vocals

Hugh Hopper - electric bass guitar

Marilyn Mazur - drums

です(英語版 Wikipedia 'Oh Moscow' によります)。

追記終わり

Factor Burzaco

アルノルト・シェーンベルク月に憑かれたピエロ(Pierrot Lunaire)』が下敷きになってますね。

 

Factor Burzaco は、アルゼンチンのバンド。

ディスコグラフィ

"Factor Burzaco"(Burzaco Records  番号なし、2007年)

"II"(AltrOck  ALT018、2011年)

"3"(AltrOck  ALT039、2014年)

 

↑の 'Arnoldturro' は、"3"(2014年)所収の曲の、2015年のものとおぼしきライヴ。

アレンジその他けっこう差異があるので、CD のヴァージョンも貼ります:

 

もうひとつ、"Factor Burzaco"(2007年)所収の曲*1の、2015年のライヴ:

 

自己認識としては、2011年、Ske(Yugen のキーボーディスト Paolo "SKE" Botta によるソロ・プロジェクト)の "1000 Autunni" までで、AltrOck を、プログレを熱心に追うのをやめた、ということになっていました。あのアルバムは、Yugen の、とくに私好みの要素を抽出して極限まで追い込んだ、みたいなもので、求めたものにありついた筈ではあったんですが、同時に、もういいや、という気になりました。

この先さらにこの線をフォローすることは、姿勢として「プログレ」だろうか?と。

そういう認識だったんですが、2015年時点で、Factor Burzaco のことは気にしていたようです。

*1:追記 2022年03月02日

確証が無かった(今も無い)ので書きませんでしたが、'Mesianik' という曲名は Messiaen 由来?とも思います。「移調の限られた旋法第2」、ジャズ的にいうと「コンディミ」が使われてるし。ただまあこの旋法はプログレにありふれてはいます。

'Arnoldturro' の Arnold がシェーンベルクを指すのは疑いないですが。

Pink Floyd 'Point Me At The Sky'

Pink Floyd のことよく知らなくて面目ないです。 

'Careful With That Axe, Eugene' と 'Come In Number 51, Your Time Is Up' はよく似た曲だなあ、と思ってました。'Eugene' の "Zabriskie Point" のためのヴァージョンが 'Number 51'、同じ曲のヴァージョン違い、なのですね…

(ただしキーは 'Eugene' が Dm、'Number 51' が Em。)

"Zabriskie Point"(『砂丘』)は、Michelangelo Antonioni の1970年の映画。

 

で、私の知ってる 'Come In Number 51, Your Time Is Up' は、この音源でした:

映画の中で、曲は、こういう使われ方をしてるのですね:

ピッチが若干高い。ミックスが違う。そして、途中からリヴァース再生を始めて、真ん中を境に前後がシンメトリになってる。

私は『砂丘』を見たことがないのですが、この動画は、映画オリジナルに編集を施したりはしてないのですよね?

 

'Careful With That Axe, Eugene' は最初、5枚目のシングル 'Point Me At The Sky'(1968年)のB面として出ました。この 'Eugene' の録音は、コンピ "Relics"(1971年)にも収められました。有名なのは "Ummagumma"(1969年)所収のライヴ・ヴァージョンで、その他多くのライヴ音源やフッテージが知られています。

 

ところが、A面の 'Point Me At The Sky' は、"Relics" にも収められなかったし、ずっと Pink Floyd 中の最もレアな録音のひとつでした。

(1968年の遅くにいちど BBC で演奏、録音、放送されたことがあり、この音源はのちにボックス・セット "Early Years 1965-1972" に収められました。)

このシングルはチャート・インせず、これを承けて Pink Floyd は UK でのシングル盤のリリースをやめる決断をしました。

私はこの曲の存在を今の今まで知りませんでした。'Lucy In the Sky With Diamonds' を大いにヒントにしてるように聴こえますが、ポエティックな曲だと思います。

なお、US ではリリースされませんでした。日本では1972年に来日記念盤として「青空のファンタジア」の邦題、「アーノルド・レーン」とのカップリングで出たようです。