ペン画家の玉川麻衣氏の「濡れ女」というタイトルの作品は、少なくとも9点ある。
私が最初に拝見したのはこれで、やっぱいちばん好き。2012年09月10日の御記事。
体躯をぐ――っとリフティングさせるのは、怨念の力か。そこから髪の垂線を下ろす。
垂線が重力の向きを示し、これに抗うしぶとい力が見える。
玉川氏は、雲の描き込みが凄かった記憶がある。大画面を細密に。
描きながら、集中力というか気の籠めようというかが凄まじく、異常なモードに入っておしまいになって、やり遂げた後、日常にお戻りになるのに段取りを要するご様子だった気がする。
もう何年も前のことで具体的な文言は思い出せないけど、雲の見せる変幻自在の無限の造形、惜しみない恩寵に、いつ見ても驚嘆し打たれる、というようなことを仰ってた。画家として鼓舞され、描き切ってやるという気にさせる、ということだったかも知れない。ものすごく不正確な引用です。